写真●NEC 第一企業ネットワークソリューション事業部 技術主幹の松田次博氏
写真●NEC 第一企業ネットワークソリューション事業部 技術主幹の松田次博氏
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 2010年10月18日に東京ビッグサイトで開幕した「ITpro EXPO 2010」のオープニング・セッション「テクノロジー・ブレークスルー」に、NEC 第一企業ネットワークソリューション事業部 技術主幹の松田次博氏が登壇。「3つのポイントで考える次世代企業ネットワーク -新型広域イーサ、スマートデバイス(iPad等)の活用-」と題して講演した。

 松田氏は冒頭、企業ネットワークのトレンドとして、(1)LTE(Long Term Evolution)をはじめ、ワイヤレスブロードバンドが一層拡大する、(2)ベストエフォート型の通信サービスが衰退し、保証型のサービスが台頭してくる、(3)スマートデバイスによるによるライフスタイル、ワークスタイルの革命が起こる---の3つを挙げ、これらを順に説明した。

 (1)のワイヤレスブロードバンドの拡大について松田氏は、社内ネットワークのバックアップ回線にイー・モバイルのワイヤレスブロードバンドを活用した京葉ガスの事例を引き合いに出し、「ワイヤレスで心配されるのはネットワークが切れやすいのではないかということ。だが、京葉ガスでは、99%以上の稼働率を達成している」と、その安定性を高く評価した。

 ただ、その安定性を引き出すにはポイントが2つあるとした。1つは、あらかじめ通信事業者に各拠点の住所を伝えて電波状況を確認してもらうこと。「1拠点ずつ人が確認していたらコストがかかりすぎる。京葉ガスの場合はイー・モバイルに協力を仰ぎ、まず全拠点の電波状況を確認した」(松田氏)。とはいえ、無線対応ルーターを設置する場所によっては電波が入りにくいことがある。その場合は、モバイル回線の利用をあきらめて有線回線に切り替えるのだという。「そういう場合があることを、あらかじめ顧客に説明しておくことが大事」(同)。それでも京葉ガスでは、約8割の拠点ではワイヤレスブロードバンドが使えたとしている。

 (2)の保証型サービスの台頭については、KDDIのバースト型通信サービス「Wide Area Virtual Switch(KDDI WVS)」を紹介した。「データセンター向けの通信帯域はLANインタフェースの最大速度まで利用できるなど、高品質のうえ、広帯域、低価格。今後、Bフレッツなどのベストエフォートサービスに取って代わるはず」(松田氏)とその優位性を解説した。

 そのうえで、松田氏がネットワークインテグレーションを手がけた企業をベースにしたモデル事例を紹介した。そのモデルによると、「WVSを導入した後の通信速度は従来のネットワークの5倍以上。月間のコストは刷新前に比べて1000万円超、比率では5割の削減となる」(同)。しかもこれには、月額化した設計・工事費用も含まれるのだという。「イニシャルコストはゼロ。それで、これほどの高速化と低コスト化が実現する」(同)。

 (3)のスマートデバイスによるによるライフスタイル、ワークスタイルの革命については、「iPhoneやiPadの備える機能のうち、最もインパクトが強かったのは“ビュアー”。その機能を使って、顧客に商品の説明をしたり、見積もりを提案したりする企業が増えている」と解説した。ここで言うスマートデバイスとは、iPhoneなどのスマートフォンとiPadなどのタブレット端末を総称したものである。

 スマートデバイスとしては、現在、iPhoneやiPadがAndroid端末に比べて優位に立っている。これに関して松田氏は、「それもこの先2年ぐらいまで。2年後にはAndroid端末が追い付き、3年後には逆転しているはず」と予測した。その理由として松田氏は、iPhoneやiPadと同等の性能、使い方ができるAndroid端末が増えてきたことや、iPhoneやiPadで人気の高いアプリケーションが、Android端末でも使えるようになってきていることを挙げた。

■変更履歴
公開当初、タイトルおよび本文中で「Android端末が3年後にはiPhoneやiPadに追い付き、4年後には逆転する」という趣旨の発言と紹介していましたが、正しくは「Android端末が2年後にはiPhoneやiPadに追い付き、3年後には逆転する」です。お詫びして訂正します。タイトルおよび本文は修正済みです。 [2010/10/18 14:20]