レッドハットは2010年10月14日、同社のクラウド戦略に関する説明会を開催し、Javaアプリケーションサーバー「JBoss」などをサービスとして利用できる「Red Hat PaaS」を構築するソフトのベータ版を、2010年12月までに出荷することなどを明らかにした。クラウドサービス事業者などと連携し、2011年にRed Hat PaaSを一般企業が利用できるようにする。

 レッドハットのクラウド戦略は、クラウドサービス事業者などが、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)やPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)を提供するためのシステム基盤を提供するというもの。既にIaaS事業者に対しては、「Red Hat Enterprise Linux」が標準搭載する仮想マシンソフト「KVM」などを提供している。

 PaaSを構築できるRed Hat PaaSに関しては、KVMのほか、米ヴイエムウェアの仮想マシンソフトや「Amazon EC2」の仮想マシンなどを一元管理できる「Red Hat Cloud Engine」に加えて、JBossのアプリケーション実行環境などをサービスとして提供するPaaSが構築できる「JBoss Platform Services」などを、現在開発中である。

 米レッドハットでミドルウェアビジネスユニットのバイスプレジデント&ゼネラルマネージャーを務めるクレイグ・モジラ氏は、「Red Hat PaaSは、現在エンジン部分を開発中。12月にはベータ版を出荷できる」と語る。米IBMなどのパートナーと連携して、PaaSの提供を模索する。

 JavaアプリケーションサーバーのPaaSに関しては、「Spring Framework」の開発元である米スプリングソースを買収したヴイエムウェアが、米セールスフォース・ドットコムや米グーグルと連携して、Spring Frameworkが利用できるPaaSの提供を計画している。レッドハットもヴイエムウェアと同様に、クラウドサービス事業者と連携して、JBossのPaaSを提供する考えだ。

 レッドハットのモジラ氏は、「Red Hat Cloud Engineは、KVM以外の仮想マシンソフトや、Amazon EC2をはじめとする様々なIaaSの仮想マシンを統合管理できる。統合管理用のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)として『Delta Cloud API』も開発している。環境に依存しないクラウドを実現することで、クラウドにおけるベンダーロックインを排除する」と説明した。