米Googleは米国時間2010年10月9日、ビデオカメラやレーダーセンサーなどを搭載し、無人で走行できる自律型自動車を開発中だと発表した。すでに実験車を米カリフォルニア州マウンテンビューの本社から、サンタモニカのオフィスやハリウッドなどへと走らせている。これまで合計22万キロ以上の公道走行に成功しており、ロボット工学研究史上初の快挙だとしている。

 開発は、国防総省国防高等研究計画局(DARPA)の自律型自動車のレースに参加したエンジニアらを集めて行った。この中には、自立型オートバイや、トヨタのハイブリッド車「プリウス」を改良して無人の宅配ピザカーを作ったAnthony Levandowski氏も加わっている。

 米メディア(New York Times)によると、今回開発した実験車もプリウスを使っている。人工知能を搭載しており、カメラやセンサー、レーザー距離計で周囲の交通を把握しながら、同社が収集した地図データを参照して目的地まで走行する。

 実験では、訓練を受けたドライバーが運転席に座り、ソフトウエアエンジニアも助手席に乗って常時ソフトウエアの動作状態を監視しながら走行した。地元警察にも届けており、安全には万全を期したとしている。

 Googleは実用化や収益化の計画について明らかにしていないが、年間120万人が交通事故で死亡している現状を踏まえ、こうした技術で犠牲者の数を減らすことができればと話している。また将来的には幹線道路を使って一度に大量の人を輸送する“ハイウェイトレイン”の構想を実現できれば、交通渋滞やエネルギー消費を抑制することができるとしている。

 同社ソフトウエアエンジニアのSebastian Thrun氏は「まだほんの実験段階にすぎないが、高度なコンピュータ技術のおかけで将来の交通の姿を垣間見ることができるプロジェクトだ」と述べている。

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