電通は2010年10月8日、クラウドを活用したサービス「マーケティング・クラウド」を発表した。顧客に対し、マーケティング・プロセスを支援するITサービスとコンサルティングサービスを提供する。システム構築にはセールスフォース・ドットコム(SFDC)のクラウド基盤を活用し、コストを抑える。

 新サービスは顧客に応じたコンサルティングやシステム構築を提供する、マーケティングに特化したITソリューションサービスといえる。電通が持つマーケティングのノウハウや各種データ、電通コンサルティングの経営コンサルティング、電通国際情報サービス(ISID)のITサービスと、電通グループが保有するリソースを組み合わせる。販売は電通の「プラットフォーム・ビジネス開発室」が担当する。

 「顧客の要望に応じてベンダー中立の立場でシステムを選定する」(電通広報)とする。目玉となるのはSFDCのクラウド基盤を利用したアプリケーションだ。09年12月からISIDとSFDCが業務提携したほか、エコポイントなどの大型案件でSFDCのクラウド基盤上にアプリケーションを構築・運用してきた実績を持つ。

 具体的なアプリケーションとしては「マーケティング・ダッシュボード」を計画する。マーケティング・プロセスにかかわる全データを整理し、リアルタイムに一つの画面で見られるようにするアプリケーションだ。従来、広告宣伝にかかわるデータ、CRM(顧客関係管理)にかかわるデータ、商品開発にかかわるデータなどは、分断された状態で管理されていた。こうしたデータを統合管理できるようにして、マーケティング上の課題解決を目指す。

 電通は2010年度下期に数社のトライアルを予定。2011年度からは「二桁の顧客獲得を目指す」(電通広報)という。