写真1●左からイー・アクセス/イー・モバイルの千本倖生代表取締役会長、エリック・ガン代表取締役社長、イー・モバイルの阿部基成取締役副社長
写真1●左からイー・アクセス/イー・モバイルの千本倖生代表取締役会長、エリック・ガン代表取締役社長、イー・モバイルの阿部基成取締役副社長
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写真2●同社が説明した携帯4社の周波数帯割り当ての現状。イー・モバイルは他社が持つプレミアムバンド、IMTコアバンド共に割り当てられていないため、公平な競争条件を担保するために900MHz帯の優先割り当てを希望した
写真2●同社が説明した携帯4社の周波数帯割り当ての現状。イー・モバイルは他社が持つプレミアムバンド、IMTコアバンド共に割り当てられていないため、公平な競争条件を担保するために900MHz帯の優先割り当てを希望した
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 イー・モバイルは2010年10月7日、総務省で議論が進められている700M/900MHz帯の再編(関連記事)に関連し、同社の意見を説明する記者説明会を開催した。

 イー・モバイルは1.7GHz帯30MHz幅を現在保有するが、「国際的に第3世代携帯電話(3G)で利用されていないため端末の調達が難しい。海外からのローミングが見込めないため、ローミングインによる収入が無い」(イー・アクセス/イー・モバイルのエリック・ガン代表取締役社長、写真1)という課題を挙げる。さらには1GHz帯以下のプレミアムバンドと比べて伝搬特性が劣るため、効率的なエリア展開ができないという。

 また「NTTドコモとKDDIは現在携帯4社に割り当て済みの周波数帯の73%を保有。その上、プレミアムバンド、世界共通の周波数帯であるIMTコアバンドの2GHz帯という重要なバンドが割り当てられている。この2社が追加の周波数割り当てで手を挙げるのはおかしいのではないか」(エリック・ガン社長)と主張(写真2)。公平な競争条件を担保するためにも、現在総務省で再編の議論が進められている900MHz帯をイー・モバイルに優先して割り当ててほしいと要望した。

 総務省の再編計画は、900MHz帯のほかに700MHz帯もフォーカスに入っている。同社が700MHz帯ではなく900MHz帯を希望するのは、「700MHz帯の再編は時間がかかる可能性がある」(エリック・ガン社長)という理由からだ(関連記事)。ソフトバンクモバイルも900MHz帯の割り当てを希望しているが、最大で15MHz幅×2程度の確保が見込める程度だ。その点についてエリック・ガン社長は「(2社で分け合う形の)5MHz幅だけでも割り当ててほしい」との考えを示した。

 なお同社は6月の総務省の会合で、900MHz帯に加えて1.7GHz帯の割り当て幅を拡張し、国際的なバンドと協調すべきという意見を示している。この点について「1.7GHz帯の国際バンドはGSMの利用のみで3Gの実績は無い。1.7GHz帯の拡張も必要だが、900MHz帯の確保のほうを優先したい」(エリック・ガン社長)という考えを明らかにした。

「オークションは既存事業者が有利にならないように」

 総務省が8月末に示した周波数再編計画の骨子には、再編を促すために周波数オークションの導入の検討するという項目が含まれている(関連記事)。オークションの是非について、イー・アクセス/イー・モバイルの千本倖生会長は「オークション自体には反対ではないが、単純なオークションでは体力に勝る既存事業者が有利になってしまう。周波数割り当て幅の少ない事業者にフェアになるような政策を導入すべき」という意見を述べた。具体的には周波数割り当て幅の少ない事業者のみが参入できるような枠を設けるべきとした。

 また総務省が検討する周波数再編の枠組みは、周波数の移行費用を跡地利用を希望する事業者が負担し、複数の事業者が希望した場合はオークション制度の導入を検討するという形。現在、周波数帯を占める事業者が移行費用を高く見積もり、移行費用が高騰することも考えられる。この点について千本会長は「移行費用についても適正な価格帯を前もって示すべき」とした。