WiMAX2の基地局(左)と試験用の端末(右)
WiMAX2の基地局(左)と試験用の端末(右)
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WiMAX2方式で16種類のハイビジョン映像と1台のテレビで3D映像を受信
WiMAX2方式で16種類のハイビジョン映像と1台のテレビで3D映像を受信
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NTTドコモのLTEサービス「Xi(クロッシィ)」でデータ送信する様子を紹介
NTTドコモのLTEサービス「Xi(クロッシィ)」でデータ送信する様子を紹介
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KDDIはLTE端末の試作機。現状では、テスト用機器と有線接続している状態
KDDIはLTE端末の試作機。現状では、テスト用機器と有線接続している状態
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従来端末(左)とEVDOマルチキャリアに対応した端末(右)で通信速度を比較
従来端末(左)とEVDOマルチキャリアに対応した端末(右)で通信速度を比較
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 ITやデジタル技術の展示会「CEATEC JAPAN 2010」の会場では、通信事業者各社が次世代の通信技術を紹介している。UQコミュニケーションズの「WiMAX2」、NTTドコモやKDDIの「LTE」など複数の通信方式が見られた。各社は広帯域通信が実現できた際にどのような用途が考えられるのかという利用シーンの例を見せていた。

 UQコミュニケーションズではブースの2階で、下り最大330Mbpsの通信方式WiMAX2(IEEE802.16m)をデモしている。基地局と試験用の端末間で通信をして、16台のハイビジョンテレビと1台の3Dテレビに対し、同時に動画データを送信するというもの。ハイビジョンテレビには10~20Mbps、3Dテレビには20~30Mbpsの動画を送信し、問題なく表示できていた。この広帯域を生かし、例えばサッカー中継において、好きな角度のカメラに映像を切り替えられるマルチアングル放送を受信するといった用途が考えられるという。今回のデモは、基地局と端末を4本のケーブルで接続しているが、実際には4×4のMIMOによる無線通信となる。商用化は2012年の予定。

 NTTドコモは2010年12月から東京・名古屋・大阪でサービスを開始するLTEサービス「Xi(クロッシィ)」の紹介をしている。受信速度は屋内の一部で最大75Mbps。屋外では37.5Mbpsとなる。会場では、パソコンを使って大容量の動画ファイルを高速ダウンロードする様子をデモ。広帯域で低遅延の通信を生かす用途としては、海外とのテレビ会議に利用する例を見せた。LTEの高速通信が利用できれば、各種端末とクラウドサービスの密接な連携が進む。会議をしながらサーバーに接続し、英語と日本語の同時翻訳サービスを利用するという将来像を示していた。

 KDDIはLTE端末の試作機を展示した。従来のKDDIの端末が利用している通信方式CDMA2000にも対応したマルチバンド方式となっている。マルチバンド方式にする理由は、ユーザーがLTEのエリア外に移動しても、CDMA2000方式で通信できるようにするためだ。さらにLTEに移行してもしばらくは音声通話の際にはCDMA2000方式を使い続けることになっている。KDDIによるLTEの商用導入は2012年12月以降。

 KDDIのブースでは、年内にも対応端末を導入予定のEVDOマルチキャリア(CDMA2000 1X EVDO Multi-Carrier)の展示もしている。従来のEVDO Rev.A方式で使っている1.25MHz幅の周波数帯を最大で3倍にして高速化する。通信速度はEVDO Rev.Aが最大3.1MbpsでEVDOマルチキャリアが最大9.2Mbps。会場では、従来端末とEVDOマルチキャリア対応端末を使って、1MBのファイルをメールで送信するデモを実演。従来端末が25秒程度かかるのに対し、EVDOマルチキャリア対応端末では10秒に短縮される様子を見ることができる。