写真1●9サイト110万件の宿泊プランを横断検索できる「旅くら」の画面
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写真2●NECビッグローブの下島健彦執行役員メディアサービス事業部長(左)と、フォルシアの屋代浩子代表取締役社長
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 インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)大手のNECビッグローブ(東京都品川区)と検索プラットフォーム開発のフォルシア(東京都新宿区)は2010年10月4日、宿泊プラン比較サービス「旅くら」の外部提供を開始したと発表した。これを受け、ニフティ、エキサイト、ソネットエンタテインメントのISP大手3社と、地方の観光協会やゴルフ情報サイトなど計14サイトが導入を決めた。2013年3月までの2年半で約300社への導入、年間流通総額1000億円の獲得を目指す。

 「旅くら」の検索の仕組みそのものは既に2009年から「BIGLOBE旅行」のサービスとして稼働している。現在までに、主要な宿泊予約サイト9つ(楽天トラベル、JTB、るるぶトラベル、赤い風船、宿ぷらざ、一休.com、近畿日本ツーリスト、じゃらんnet、阪急交通社)のデータを集約し、110万件以上の宿泊プランから価格比較・検索できる。

 「旅くら」を利用すると、BIGLOBE旅行と同等の価格比較・検索機能を自社サイト内に取り込める。画面のデザインを調整したり、特定の地域の宿泊施設を優先的に表示するといったカスタマイズにも対応する。

出張予約を最安に誘導し、コスト削減を支援

 今回の14サイトの中にはニフティなどのポータルサイトのほか、大手製薬会社の社内サイトが含まれる。これらの14サイトは、原則として無料で利用できる。NECビッグローブとフォルシアは旅行会社から得るアフィリエイト手数料で新サービスを運営。さらに、獲得手数料の一部を導入サイトに配分する。

 企業が自社の社内サイトで「旅くら」を導入した場合、社員の出張時の宿泊予約を最安値に誘導し、コスト削減につなげる効果を期待できる。さらに手数料収入の配分も得られるメリットがある。NECビッグローブとフォルシアは、この機能を社員の出張が多い企業に訴求し、社内サイト向け導入を呼びかける考えだ。

 NECビッグローブの下島健彦執行役員メディアサービス事業部長は「国内旅行市場は頭打ちだが、ネット予約は急速に伸びている。強力な横断比較検索機能を生かして事業を拡大したい」と話す。

 家電・パソコンなどの分野では「価格.com」など価格比較サイトの利用が一般的になっているが、宿泊予約分野では本格的に価格比較ができるサービスがなかった。宿泊施設には業界標準のコード体系が未整備だったり、宿泊施設名やプラン名などの変更が頻繁にあることなどが障壁になっていたという。

 これらの課題に対応する横断検索の技術・ノウハウはフォルシアが提供する。同社が独自に開発した検索技術「Spook(スプーク)」を活用し、宿の名前や住所、価格などのデータをいったんデータベース管理システム(オープンソースのPostgreSQL)に格納(関連記事)。さらに、事前に、地域別や宿泊日別など宿泊予約の検索に利用されやすい切り口に沿ったデータ形式に変換して保管し、検索速度向上を図っている。