写真1●富士通の生貝健二副社長
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写真2●富士通ビジネスシステムズの古川章社長
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 富士通ビジネスシステム(FJB)と富士通は2010年9月29日、10月1日に設立する「富士通マーケティング」(FJM)について戦略説明会を開催した。FJMはFJBに富士通の中堅企業向け商品開発や営業支援組織を統合し、社名を変更して誕生する新会社だ。富士通グループで、売上高30億~300億円の中堅企業向けソリューションを提供する中核会社となる。

 FJMの役割は大きく三つある。(1)中堅企業に対する営業機能、(2)中堅企業市場に向けた新商品・サービスの開発機能、(3)販売パートナー企業の支援機能である。「FJMは商品の企画・開発、販売、サポートを併せ持つ製販一体会社となる。加えて、従来よりもパートナー支援体制を強化する。富士通からソリューション開発部隊150人、パートナー支援部隊100人を移管した」と富士通の生貝健二副社長は説明する(写真1)。

 10月1日からFJM社長に就任する、FJBの古川章社長は「2009年度の中堅民需ビジネスの売上高は1390億円。2015年度に2000億円まで高める」と目標を掲げた(写真2)。目標達成の鍵と位置付けるのが、中堅企業向けの新商品・サービスと、販売パートナーとの連携強化である。

SEコストを低減したSIサービスを提供

 新商品・サービスとしては、業務アプリケーション「GLOVIA smart きらら」シリーズを投入する。ERPパッケージ「GLOVIA smart」をベースに、ノンカスタマイズ製品に仕立てたものだ。SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型で提供するほか、自社資産として保有したい企業向けにパッケージ版を販売する。

 まずは10月に会計アプリケーション「GLOVIA smart 会計 きらら」を発売する。SaaS版の月額料金は1ユーザー当たり9800円から。作業費以外の基本料金はかからず、決められた最低契約期間もない。パッケージ版は2ユーザーの場合で46万5000円からとなる。FJBの水野太郎執行役員常務は「2011年早々に人事給与アプリケーションを追加する。その後、生産、販売、見える化といったアプリケーションを順次発売する」とした。

 このほか、各種システムインテグレーション(SI)サービスを「パッケージ商品」にする。サーバー構築やシステム運用、セキュリティ対策などのサービスを15カテゴリー167サービスに分類。簡易な作業で導入できるようにして、従来よりもサービスの料金を引き下げる。古川社長は「SIサービスはSEのコストが大きく、見積もりだけで数十万円かかったりする。そういうものが不要なビジネスに切り替える」と言い、従来とは異なるSIサービスであることを強調した。

販売パートナーを多面的に支援

 販売パートナーの支援では「“富士通陣営”として強くなるため、ビジネスモデルを変えなくてはいけない」(古川社長)と決意を表明した。2009年度の中堅民需ビジネスの売上高に占める間接販売比率は35%。中堅民需ビジネスで売上高2000億円を目指す2015年には、間接販売比率を50%まで高める計画だ。

 目標達成のため、FJMでは販売パートナーに対する支援体制を強化する。販売面では、見込み客の開拓支援やFJMの持つ商談開拓手法の移植などを実施する。人員面ではSEやサポート担当者の育成を支援する。調達面では、販売パートナーが必要とするミドルウエアなどをFJMが取りまとめ、共同購買で調達コストを下げる。

 商品面のパートナー支援は大きく二つ。一つは販売パートナーにクラウド基盤サービスを提供する。販売パートナーはこれを利用してIaa(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)やPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)を提供したり、独自のSaaSビジネスを展開したりできる。もう一つはGLOVIA smart きららと、販売パートナーの独自商品・サービスとの連携だ。

 新商品の提供もパートナー支援策の一環と位置付けている。「販売パートナーからは、富士通にはそもそも中堅企業に売れる商品がないと言われていた」(古川社長)という状況の打破を狙う。