Chief Technology Officer兼Vice President、Director、Intel Labs and Intel Fellowのジャスティン・ラトナー氏。
Chief Technology Officer兼Vice President、Director、Intel Labs and Intel Fellowのジャスティン・ラトナー氏。
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Fodor's Travelの「Personal Vacation Assistant」。地図で道案内をするほか、現在地などに基づき利用者が好みそうな観光ポイントを推薦する。
Fodor's Travelの「Personal Vacation Assistant」。地図で道案内をするほか、現在地などに基づき利用者が好みそうな観光ポイントを推薦する。
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足の動きを認知するセンサーを持つラトナー氏。
足の動きを認知するセンサーを持つラトナー氏。
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コンテキストエンジンの概要。センサーなどで得た情報を基に行動を推論する。
コンテキストエンジンの概要。センサーなどで得た情報を基に行動を推論する。
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 米Intelが2010年9月13日から米国サンフランシスコで開催しているIntel Developer Forum(IDF)最終日の基調講演は、Chief Technology Officer兼Vice President、Director、Intel Labs and Intel Fellowのジャスティン・ラトナー氏が登壇した。講演のテーマは「コンテクストアウエアネス」。ユーザーの周囲の物理的な状況や、これまでの操作の履歴などを把握することによって、より適切な情報を適切なタイミングで提示するというのがその趣旨だ。

 講演は開発中の事例の紹介を交えながら進められた。最初に紹介したのが「Personal Vacation Assistant」。Fodor's Travelに開発を依頼した。以前に選んだアクティビティや現在の位置、予定表などの情報を基にこれから行くべき観光ポイントや店舗などを、リアルタイムで紹介する。携帯情報機器を通じて提供する。さらに、この機器で撮影した画像や動画などをまとめて、自動的に旅行経過をまとめたブログを生成する機能も備えている。プロトタイプ版を使ってニューヨークで約30人の観光客に利用してもらい、評判は良かったという。

 次に、足の動きなどで利用者を識別するデモを見せた。65歳を超えてから転倒すると骨折に結びつきがちで、結果として重篤な病気に結びつくことが多い。そこで、足の動き(振り方のスピードや進め方のスピードなど)から個人および動作を識別し、転倒を予防するのが狙い。また、テレビのリモコンにセンサーを取り付け、利用者を識別して番組を推薦するデモも見せた。

 Intelは、こうしたコンテキストを意識したアプリケーションを実現するための、ソフトウエアフレームワークも開発している。機器に接続したハードウエアのセンサーだけでなく、ソフトウエアの操作履歴やソーシャルネットワーク、Webブラウザーの履歴などのソフトウエア的なセンサーの情報を収集し、コンテキストを推測する。アプリケーションソフトからは、APIを通じて推論結果を取得する。情報を収集した結果はクラウド側で収集し、異なる機器で収集した情報を統合できる。ただしプライバシーなどに配慮して、どの情報をクラウドに置くかは設定したポリシーによって制御できる仕組みになっている。