企業の会計基準などを決めている企業会計基準委員会(ASBJ)は2010年9月16日、第209回委員会を開催。IFRS(国際会計基準)へのコンバージェンス(収れん)に関する最新の「プロジェクト計画表」を承認した。「四半期」「後発事象」などをプロジェクト項目として追加したほか、IASB(国際会計基準審議会)とFASB(米国財務会計基準審議会)が6月に打ち出した方針とワークプランに対応して計画を更新した。近く公表する見込みだ。

 ASBJが前回、プロジェクト計画表を更新したのは4月(関連記事)。この時点で公表した計画表と比べて、最も大きな違いは「IASB/FASBの検討項目以外の項目」という分類が追加されたことだ。新たに「四半期」「後発事象」「特別目的会社の連結」の三つがプロジェクト項目となった。

 四半期は四半期ごとの開示のこと。後発事象は決算日後に生じた会計事象で、会社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすものをいう。金融庁は財務会計基準機構(FASF)に対して、「四半期財務諸表に関する会計基準の改正」と「後発事象に関する会計基準等の策定」について検討を依頼。8月にFASFの基準諮問会議で審議した結果、ASBJに提言することとなった。今回の項目追加はこれに対応したものだ。どちらも2010年10~12月に公開草案、2011年1~3年に最終基準を計画している。もう一つの「特別目的会社の連結」は2010年10~12月に最終基準としている。

 このほかのプロジェクト項目の多くで、計画の実施時期が変更になった。そのほとんどで時期が後ろにずれている。「既存の差異に関連するプロジェクト項目」として残っている「企業結合(ステップ2)」と「無形資産」はともに、4月時点の計画表では最終基準が2010年10~12月だったが今回、2011年6月までとなった。

 「IASB/FASBのMOUに関連するプロジェクト項目」のうち、「収益認識」「金融商品」「リース」「認識の中止」の公開草案は、4月時点で2011年上期だったのが今回、2011年7~9月となった。「公正価値測定・開示」の最終基準は4月時点で2010年10~12月だったのが今回、2011年4~6月となっている。

 これらの変更は主に、IFRSコンバージェンスプロジェクト(MOU)を共同で進めているIASBとFASBの動きに対応したものだ。当初は2011年6月の完了を目標としていたが、2010年6月にMOUの完了時期を2011年末に延期すると同時に、プロジェクト項目を優先順位付けしたうえで計画を見直した新たなワークプランを公表した。ASBJの今回の計画表で時期が後ろにずれた項目が多いのは、このMOUの変更による影響を受けたためだ。

 ASBJがプロジェクト計画表を公表するのは、2007年12月、2008年9月、2009年9月、2010年4月に続いて今回が5回目。当初は原則、年1回だったが、MOUを中心としてIFRS関連の動きが激しいため、前回から「適宜更新していく」方針としている。なお、前回計画表に載っていた「財務諸表の表示(包括利益)」と「1株当たり利益」はすでに最終基準となったので、今回の計画表からはずれている。