NTTドコモは2010年9月15日、同年11月1日から2011年3月末までの期間に東京大学と共同で、モバイル・インフラの運用データを統計処理する「モバイル空間統計」を活用した研究を進めると発表した。モバイル空間統計とは、携帯電話のインフラ運用に伴って発生する位置データや生年月日や性別などの顧客データを、プライバシー保護した上で統計処理すること。

 携帯電話端末はユーザーがどこにいても着信できるよう定期的にネットワークに位置を通知するため、GPSを使わなくても大まかな位置を特定できる。これらのデータ(運用データと呼ぶ)をドコモの携帯電話の普及率を加味することで、特定の地域の時間ごとの人口変化の推定が可能になる。

 ドコモは2008年春ころから「ペタマイニング」という名称でこの取り組みを開始。巨大なマイニング設備も用意し、研究を進めてきた(関連記事)。今回の発表に伴った記者説明会では、東京都心の人口分布や年齢構成の時間ごとの変化などを実際に披露してみせた。

 東京大学との共同研究では、東京大学柏キャンパスを拠点として、柏市の季節・曜日・時間による属性別人口変動をモバイル空間統計によって推計する。都市空間との関係性を分析し、まちづくりの分野での有用性を検証する。例えば、都市全体の人口分布の時間変動を推計することで、より効率的な都市空間の立案などが可能になる。

 なおドコモは運用データのプライバシー保護の自主ルールとして、「モバイル空間統計ガイドライン」を策定した(参考資料)。ガイドラインによると、モバイル空間統計では運用データを非識別化処理、集計処理、秘匿処理する。これによって集団の人数のみをあらわす人口統計情報となるため、個人の特定はできないという。

発表資料

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