写真 交付式で原口大臣(手前左)から認定書を受け取るmmbiの二木社長(右端)
写真 交付式で原口大臣(手前左)から認定書を受け取るmmbiの二木社長(右端)
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 総務省の原口一博大臣は2010年9月9日、V-High帯を利用する全国向け「携帯端末向けマルチメディア放送」の特定基地局開設計画の認定書を、マルチメディア放送(mmbi)の代表取締役社長である二木治成氏に交付した(写真)。2010年9月8日に電波監理審議会は総務省に対し、携帯端末向け放送の受託放送事業者の認定先はmmbiが適当とする答申を出していた(関連記事へ)。

 mmbiの二木社長は交付式終了後、囲み取材に応じた。「特定基地局の開設計画の認定をいただけたことを素直に喜んでいる。アナログテレビ放送終了後の希少な周波数を使うのだから、ぜひとも成功させなければいけないと思っている」と抱負を述べた。事業を成功させるためのポイントとしては、「早期にサービスを立ち上げること」を挙げた。

 KDDIが参入に難色を示す発言をしていることについては、「技術が公式に見えないということと、エリアにおけるビル陰などの問題にまだご納得をいただけていないところがある」とした。技術開示の問題については、「ISDB-Tマルチメディアフォーラムで技術の検討をしている。今年の秋には運用規定を出し、公表していく」として、技術のオープン化を進める考えを示した。エリアの問題については、「東京スカイツリーを使うのでビル陰の影響は少なくなる。誤解があるかもしれないので、機会があればご説明をしたい」としている。さらに、NTTドコモの山田隆持社長もオープンという考えで動いている。そういうことをメッセージとして伝えていければと思っている」と述べた。

 「ベンチャー企業が委託放送事業者になる場合がある。経営的な足腰の弱いところと組む際の工夫はあるのか」という質問には、「仮称だが、『マルチメディア放送協議会』という組織を立ち上げる。委託放送事業者と一緒にビジネスモデルを考えていきたい」とした。料金についても、「初期段階では料金を割り引くなど、料金面からもオープンに議論したい」という。

 「早くも“ガラパゴス放送”という声が出ている。海外展開をするうえで何が課題になると考えるか」という問いには、「ISDB-Tの技術は南米の標準になっている。インドやフィリピンには我々の出資会社があり、そこを通じて技術を展開したい」などと述べた。さらに「単に方式がいいだけでは広がらない。放送と通信を連携したビジネスモデルを成功させて、それと一緒に技術を送っていきたい」としたうえで、「ガラパゴスにはならないと思っているし、したくない。そのためには早くビジネスを展開して、それを世界に持っていきたい」と意欲を見せた。