富士通は2010年9月2日、メーカーや卸、小売り、物流事業者など物流を手掛けている企業向けの新しいSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の提供を同月から始めると発表した。物流の計画立案、輸配送の運行管理、渋滞や気象の情報提供などに関連するシステムをSaaSで提供し、新規顧客の獲得につなげる。同社の09年度の物流関連売り上げは250億円で、新サービスにより2012年度に300億円に増やす考えだ。

 同社の加藤泰司 流通ビジネス本部運輸統括営業部営業統括部長は「物流システムには、各企業が独自に持つコアのシステムと、どの会社でも共通なノンコアなシステムがある。主に運行管理などノンコアの部分をSaaSを使って安価に提供する」と語る。

 物流のコアシステムに関しては、「利益管理システムのニーズが高い。現状では、この部分は各企業が独自にシステムを構築したいと考えている。将来的には、パブリッククラウド上で個別に構築する案件が増えるだろう」とみる。

 富士通が今回、SaaSとして提供するのは、バーコードとハンディーターミナルを利用して倉庫内での作業を効率化する「ハンディターミナルによる庫内作業支援システム」、無線通信機能付き車載端末を使って車両の運行を管理する「運行支援/エコドライブシステム」などである。これらを400人の専任体制を敷くロジスティクスソリューション部門が販売していく。