情報通信審議会 情報技術分科会は2010年9月2日、「携帯電話等周波数有効利用方策委員会」の第41回会合を開催した。同委員会は700/900MHz帯を使う移動通信システムの技術的条件を検討している。今回は、700/900MHz帯の割り当て検討モデル案と必要な干渉検討パターンを示した。

 割り当て検討モデルは、「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討ワーキンググループ」が2010年8月26日に中間取りまとめを行い、同8月31日に親会である「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」で報告したものである(関連記事)。委員会ではこの案にしたがって、移動通信システムとその他システム(テレビ放送やITS、FPU、ラジオマイク、MCA、ICタグなど)との干渉を回避する技術的条件を決めていく。

 検討は900MHz帯から始める。900MHz帯のほうが700MHz帯よりも対象となる他システムが少なく、比較的短期間で技術的条件を決められるからである。その後700MHz帯の検討に入り、2010年10月末までの2カ月弱で委員会報告案をまとめる。10月末は「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討ワーキンググループ」が周波数割り当て案を決める時期であり、これに合わせた形だ。

 この案に対し、放送事業者からは「検討にかける時間が短すぎる」との意見が多く上がった。日本放送協会(NHK)は、「スケジュールがタイトすぎる。放送と通信の文化の違いを互いに理解したうえで進めたほうが、もめ事にならない。10月中にまとめるというのはかなり厳しい」と述べた。同様に「これまで経験した干渉検討のなかで最も過密なスケジュールだ。無理だというのを理解してほしい」(日本テレビ放送網)、「ITSとテレビ放送との干渉検討でも1年かかった。今回はより多くの干渉検討パターンがあり、多くのリソースと時間が必要になる」(日本民間放送連盟)と懸念を示す意見が出た。

 委員会の主査を務める服部武氏(上智大学 理工学部 教授)はこうした意見に対し、「技術的条件が決められる干渉検討パターンもあれば、すぐに決めるのが難しい干渉検討パターンもあるだろう。実際に検討を進めながら、それらを明らかにしていってほしい」と要望した。委員会は2010年9月15日から10月27日まで毎週開催する。