写真1●三菱東京UFJ銀行の徳永瑞彦 上席調査役
写真1●三菱東京UFJ銀行の徳永瑞彦 上席調査役
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写真2●仮想化デスクトップ導入の背景
写真2●仮想化デスクトップ導入の背景
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写真3●仮想マシンの集約率を検証
写真3●仮想マシンの集約率を検証
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 サンフランシスコで開催中のVMworld 2010のブレイクアウトセッションで、三菱東京UFJ銀行 システム部の徳永瑞彦 上席調査役が講演。「Stateless Desktops at The Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ,Ltd.」というタイトルで、仮想化デスクトップ「VMware View」の導入事例を披露した(写真1)。

 同行では、6万台を超えるPCを対象に、2008年からデスクトップ仮想化のプロジェクトを進めている。徳永 上席調査役はまず、セキュリティやソフトライセンスの無駄といった、同行のクライアントが抱えていた課題を説明。「デスクトップ環境をサーバーサイドに集約することで、従来の課題を解決したかった」と、仮想化技術を取り入れる狙いを語った(写真2)。また、「モバイル環境でPCをリブートせずに業務を継続できる、シンクライアントのメリットも大きい」と続けた。

 同行では、IT部門にあるPCのうち3000台を、仮想化デスクトップに移行済みだ(関連記事)。移行に先立ち、パフォーマンスやキャパシティのテストを入念に行った。ExcelやWordに負荷をかけるテストスクリプトで検証し、1台の物理サーバー上で何台の仮想マシンが動かせるかをはじき出した。

 テスト結果から見ると1サーバー当たり仮想マシンを100台動かせると分かったが、障害対策の観点から80台に抑えた。「物理サーバーは5台を一組としてグループ化してある。もし1台のサーバーに障害が発生しても、他の4台に仮想マシンを20台づつフェールオーバーすれば、業務が継続できる計算だ」。徳永 上席調査役はこう理由を説明した(写真3)。

 稼働後に行った性能検証から、仮想化デスクトップのシステム特性も分かってきた。「サーバーの平均CPU使用率は通常時が70%程度。朝のログインと晩のシャットダウン時は負荷がピークを迎え、85%に達する。一方、メモリーには余裕があり、ピークでも40%から45%で済んでいる」(徳永 上席調査役)。こうした結果から現在、サイジングを見直している最中だ。「最新サーバーであれば、1台当たりの仮想マシンを120台ぐらいまで増やせそうだ。メモリーは96Gバイトから72Gバイトに減らす」。徳永 上席調査役は今後の方針をこう話す。2010年度末までに、仮想デスクトップを1万6000台まで増やす計画である。