写真●ICTタスクフォースの第13回合同会合
写真●ICTタスクフォースの第13回合同会合
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 総務省は2010年8月31日、グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース(ICTタスクフォース)の「過去の競争政策のレビュー部会」(第1部会)と「電気通信市場の環境変化への対応検討部会」(第2部会)の第13回合同会合を開催した(写真)。

 両部会はこの日、2015年までにブロードバンドサービスの100%利用を目指す「光の道」構想の行程表をまとめた「光の道」戦略大綱を決定した。

 戦略大綱は合同部会が5月にまとめた「光の道」構想の基本的方向性(関連記事)をベースに、法改正が必要な分野ごとに整理しなおした内容と言える。具体的には、(1)「ICT利活用基盤」の整備加速化インセンティブの付与、(2)NTTの在り方を含めた競争ルールの見直し、(3)規制改革などによるICT利活用の促進、を3本の柱として掲げ、これらの柱ごとに行程表を用意した。いずれも11月末のICTタスクフォースの最終報告で詳細をまとめ、法改正が必要な場合は年明けの通常国会に法案を提出するというスケジュール感は共通になっている。

NTTの経営形態についてはさほど踏み込まず

 (1)はブロードバンド基盤整備の在り方についてまとめた項目だ。競争環境の中で民間主導で行うことを原則としながらも、特に未整備エリアにおいて基盤整備を加速させるために財政上の支援措置を講じる。これまで実施されている公設民営方式などを検討し、支援措置に関連して「電気通信基盤充実臨時措置法」の一部改正案の次期通常国会への提出を目指す。

 基盤整備する技術はFTTHを念頭に置いているが、一部無線通信も代替的役割として期待する。ICTタスクフォースの周波数ワーキンググルーブ(WG)が8月26日に開催した会合で策定した「中間とりまとめ」の内容を参照しながら、多様なブロードバンド手段を確保する観点から、「2015年に300MHz幅以上、2020年に1500MHz幅以上の周波数帯の確保に取り組む」とした。

 (2)は、料金の低廉化やブロードバンド利用を促進するための競争ルールの見直しについての項目だ。公正競争を一層活性化するために、アクセス網の一層のオープン化、ドミナント規制の見直し、総合的な市場支配力(SMP)などを検討し、検討結果を踏まえて電気通信事業法などの一部改正案を次期通常国会への提出を目指すとした。NTTの組織形態については、これまでと同様、踏み込んだ記述にはなっておらず、「公正競争の確保や経営自由度の向上など、多角的な視点からの総合的な検証を行った上で、あるべき姿を検討する」という表現にとどめた。

 (3)はICTの利活用を促進するための各種制度・規制の見直しについての項目。政府のIT戦略本部での取り組みを中心に、抜本的な見直しを図るために「情報通信利活用促進一括化法」を検討するとしている。

 なおICTタスクフォースはNTTに対して8月末までに、メタル回線を光回線に切り替える移行計画を提出するよう求めていたが、この日の会合が開催された午後5時現在、まだ提出されていないという。

[「光の道」戦略大綱(PDF)へ]