The Linux Foundation ジャパンディレクタ 福安徳晃氏
The Linux Foundation ジャパンディレクタ 福安徳晃氏
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 「LinuxConのミニサミットは日本の技術者が提案し、世界から講演者を集めた」(The Linux Foundation ジャパンディレクタ 福安徳晃氏)---The Linux Foundationは2010年8月5日、2010年9月に開催する国際技術会議「LinuxCon Japan」の説明会で、同会議の「注目プログラム」(福安氏)企画の経緯を明かした。

 LinuxConは、The Linux Foundationが主催するイベント。2009年10月に開催した国際技術シンポジウム「Japan Linux Symposium」(関連記事)の第2回にあたる。Japan Linux SymposiumにはThe Linux FoundationのフェローであるLinus Torvalds氏ら多くの主要なLinuxカーネル開発者も来日し、講演を行った。

 LinuxCon Japanの基調講演には、米IBMのOpen System Development担当副社長であるDan Frye氏が来日し登壇する。IBMが、Linuxを中核ビジネスのひとつとして取り組むにあたって、どのような失敗に直面し、どのような決断を行ったかを語る(関連記事)。

 「LinuxConの注目プログラム」と福安氏が呼ぶのが「ミニサミット」である。Linuxカーネルのコア開発者が年に1度集まり開発の方向性について議論する「Kernel Summit」の、専門領域に絞ったものという企画だ。今回行われるのは「仮想化ミニサミット」と「トレーサーミニサミット」である。トレーサーはLinuxカーネルの挙動や障害を記録する、システムの障害原因を究明し信頼性を向上されるために欠かせないツールだ。

 これらのミニサミットは、日本の技術者により提案されたという。「LinuxConの講演者募集に対し『ミニサミットをやりたい』という提案があった」(福安氏)。仮想化ミニサミットを提案したのはNTTデータ先端技術のフェルナンド・バスケス氏。トレーサーミニサミットを提案したのは日立製作所の平松雅巳氏。LinuxConのプログラム委員会はこの提案を採用した。

 ミニサミットのために来日する講演者もバスケス氏と平松氏が集めた。「昨年Japan Linux SymposiumとKernel Summitを日本で開催し、技術者が顔を突き合わせて議論したことで、日本と海外の距離が縮まった。だからこそこういう提案が出てきて、海外からも2つ返事で講演者が集まった」とThe Linux Foundation テクニカルコンサルタント、杉田由美子氏は感じている。

 そして「日本のシステムインテグレータのオピニオンを海外のコアカーネル開発者に伝えたい」と福安氏は言う。日本のシステムインテグレータのサポートは、海外に比べて非常にきめ細やかだ。「海外に技術者にとっては、そこまでやるのかというレベル。フェイストゥフェイスで話をすることで、日本のSIビジネスにはそのきめ細かさが必要なんだということを理解してもらいたい」(福安氏)。

 The Linux Foundationでは、8月に開設したLinux情報サイト「Linux.com Japan」でもLinuxConに向けた情報を掲載していく方針だ。