写真1●マイクロソフト新宿本社で開催された「DO-IT Japan 2010」の大学生向けプログラム
写真1●マイクロソフト新宿本社で開催された「DO-IT Japan 2010」の大学生向けプログラム
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写真2●紙資料をスキャナーで電子化して整理する
写真2●紙資料をスキャナーで電子化して整理する
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 マイクロソフトは2010年8月5日、障害を持つ大学生を対象に、「Office OneNote」を使って授業のノートを取る実習を行った(写真1)。この実習は、東京大学先端科学技術研究センターが主催する大学体験プログラム「DO-IT Japan 2010」の一環として開催されたもの。聴覚障害や四肢機能障害、高次脳機能障害などを抱える大学生12人が参加した。

 DO-IT Japanは、東京大学先端科学技術研究センターが主催し、マイクロソフトなどが共催する障害を持つ若者向けのプログラム。4泊5日の合宿を行い、大学受験や大学での学習を支援するソフトウエア、IT機器の使用方法など実践的な知識を学習する。4回目の開催となるDO-IT Japan 2010では、これまでの高校生/高卒生向けのプログラムに加えて、新たに大学生を対象としたプログラムを設けた。

 同日の大学生向けのプログラムでは、OneNote 2010を使って授業のノートを取る方法、および授業で配布されたプリントを電子化して整理する方法を学んだ。東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍教授は、「視聴覚や四肢に障害がある学生や、ADHD(注意欠陥/多動性障害)、アスペルガー症候群などの病気を抱える学生にとって、筆記で授業のノートを取ることや、紙の資料を整理することは難しい」と説明する。

 OneNote 2010は、手書きのノートのようにページの自由な位置にテキストや図を入力できるソフト。ページ内に、音声ファイルや画像ファイル、Web上のデータなどを取り込んで整理することが可能。パソコンで録音しながらOneNoteにテキストを入力するとテキストが音声ファイルにタグ付けされる機能など、授業のノートを取るのに便利な機能を搭載する。

 実習では、ICレコーダーで録音した音声ファイルと、スキャナーで電子化した配布資料をOneNoteに取り込む手順を学んだあと、中邑教授による模擬授業のノート取りを体験した(写真2)。ICレコーダーおよびスキャナーは同プログラムの協賛企業が提供したもので、参加した大学生たちは各自持ち帰って、実際の授業に役立てる。「パソコンやICレコーダー、スキャナーなど既存のIT機器を組み合わせれば、障害のある学生が便利に学習できるという情報を広く発信していきたい」(中邑教授)。