シマンテック プロダクトマーケティング部の石井明プロダクトマーケティングマネージャ
シマンテック プロダクトマーケティング部の石井明プロダクトマーケティングマネージャ
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 「仮想化環境、クラウド環境におけるバックアップは、サーバー個別ではなくプラットフォームのレベルで考慮すべき」。シマンテック プロダクトマーケティング部の石井明プロダクトマーケティングマネージャは2010年8月3日、「仮想化フォーラム2010 Summer」の講演でこう指摘した。

 サーバー仮想化の導入によりサーバーの統合が可能になるが、その分、ストレージやネットワークがボトルネックになりやすい。従来のように、サーバー個別でバックアップをしていたのでは、ストレージやネットワークが破綻し、「想定時間内にバックアップが終了しない」といったトラブルになりかねないというのが、石井氏の指摘だ。

 ストレージやネットワークに負担をかけないバックアップを実現する上では、各バックアップ対象サーバーで共通するデータを重複してバックアップしない「重複排除」が重要な要素になる。石井氏は「従来の重複排除は、バックアップデータを保存するアプライアンスハードウエア上で実現するものが多かった。当社が2010年2月に発売した『NetBackup 7』では、バックアップ対象のサーバー上やバックアップサーバー上でも重複排除が可能で、ストレージ容量だけでなくネットワーク帯域も節約できる」とアピールした。

 仮想化環境でバックアップの重複排除を行うと、各マシンで共通するOSのファイルなどをバックアップしなくなるため、ストレージの容量を80~90%節約できる。また、バックアップ対象のサーバーで重複排除を実行した場合、ネットワーク帯域を90%削減できるという。

 仮想化環境のバックアップでは、仮想マシンが使用する仮想ディスクイメージファイルを、そのままバックアップするケースが増えている。NetBackup 7では、仮想ディスクイメージファイルの中で、変更が加わったブロックだけをバックアップする増分バックアップが可能。さらに仮想ディスクイメージファイルのバックアップデータから、仮想ディスクの中に保存されている単体のファイルのみを復元することも可能だ。「ユーザーが復元したいのは、仮想マシン全体ではなく、そのマシン上にあるファイルであることも多い」と石井氏。柔軟なバックアップ/リストアが行えるのも特徴だとしている。

 ヴイエムウェアの「vSphere」やマイクロソフトの「Hyper-V」、シトリックス・システムズの「XenServer」など、個別仮想マシンソフトへの対応も強化している。NetBackup 7ではvSphereのバックアップ用API「vStorage API」に対応し、ゲストOSからではなくハイパーバイザーから直接バックアップデータを書き出すようにすることで、バックアップのパフォーマンスを従来よりも50%向上させた。

 マイクロソフトのHyper-Vに関しては、NetBackupと日立製作所のストレージ装置との組み合わせで「オフホストバックアップ」が実現できるようにした。オフホストバックアップとは、バックアップ対象のサーバーが使用するストレージ装置をバックアップサーバーが直接マウントすることで、サーバーを経由せずにバックアップデータを書き出すことを指す。バックアップ対象サーバーのCPU使用率に全く影響を与えずに、バックアップが可能になった。

 シマンテックは今後、クラウドに特化したバックアップソリューションも発表する予定。利用企業が自社で運用するサーバーのデータを、外部のクラウドにバックアップすることで、ディザスタリカバリー対策を不要にするソリューションなどが、今後提供される予定である。