アイシロン・システムズの代表取締役ティム・グッドウィン氏
アイシロン・システムズの代表取締役ティム・グッドウィン氏
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 「仮想化とクラウドでは、スケールアウトする技術の利用をぜひ検討してほしい」。2010年8月3日、東京都内で開催された「仮想化フォーラム2010 Summer」で、アイシロン・システムズの代表取締役ティム・グッドウィン氏が登壇。「クラウドコンピューティングを支えるインフラ最前線」と題した講演において、スケールアウトする技術の重要性を訴えた。同社は米Isilon Systemsの日本法人。Isilon Systemsはスケールアウトストレージという分野で独自開発の製品を10年前から展開している。

 同社にとってスケールアウトは、仮想化やクラウドの運用効率化にとって欠かせないものと位置づけられる。現状のSAN(Storage Area Network)やNAS(Network Attached Storage)といったストレージは概念が古く、対応が不十分であるという。最も大きな課題は、1システムごとにボリュームを設けるなど、管理が縦割りで煩雑になりがちな点だ。容量を拡張するときには、ボリュームの追加やデータの移行などが必要になり、エンジニアの作業やコストがかかる。

 これに対して、アイシロンの製品では単一のボリュームとファイルシステムを複数のシステムから共通に利用できるようにしているのが特徴である。OneFSという独自OSによって、複数のきょう体(ノード)にまたがった領域について、単一ファイルシステムを構成することが可能。サーバーからはNFSやCIFSなどマルチプロトコルでアクセスできる。

 また、最大36台のディスクを搭載可能なノードを複数台接続して、クラスタを構成し、性能と容量を拡張できる。データは複数のノードに分散配置され、処理性能を高めるとともに、信頼性を確保する。最大4ノード(144台のディスク)が同時にダウンしてもデータ損失がなく、サービスを継続できるという。

 容量は単一ボリュームのまま10ペタバイトまで拡張可能だ。小規模なシステムから始めて規模を大きくするスモールスタートが可能。ボリュームの拡張はオンラインで可能で60秒で済むという。きょう体間の内部通信にはInfiniBandを利用し、サーバーとの接続にはEthernetを使う。

 最新のOneFS 6.0では、シングルファイルシステムで多階層型のストレージを構成できるようにした。現状では、「高速なSAS(Serial Attached SCSI)で構成した性能重視のストレージ」「性能と価格のバランスを重視したSATA(Serial ATA)で構成したストレージ」、および「経済性と拡張性を重視したアーカイブ用ストレージ」で多階層型のストレージを構成した場合、それぞれの間でのデータ移行が人手作業になっている。これに対してOneFS 6.0の環境では、全階層のストレージを一つのファイルシステムで管理し、ポリシーに基づいてデータを自動的に最適なストレージへ移動できる。