米コネチカット州のRichard Blumenthal検事総長は現地時間2010年8月2日、米Appleと米Amazon.comが大手出版社と結んでいる電子書籍コンテンツの売買契約について調査を開始したことを明らかにした。米国の自由な市場競争を脅かす恐れがあるという内容の書簡を、7月29日付けでAppleとAmazonのそれぞれに送付し、両社に事情を説明するよう要請している。

 公開された書簡によると、2010年3月に掲載された米New York Timesの記事において、Appleと出版社の売買契約が取り上げられており、検事総長はこの記事で指摘されている契約条項を問題視している。

 記事によると、Appleの契約は出版社が小売価格を決め、売り上げの一部を出版社に戻すという「エージェンシーモデル」。これに対しAmazonが従来結んでいた契約は、小売業者が自由に価格を決定できる「卸売り型価格モデル」。記事には、出版社が提唱する前者のモデルをAppleが受け入れ、Amazonもそれに追随したとある。

 検事総長は書簡の中でAppleとAmazonが結んだとされるこの契約について次のように指摘している。

 「ここにはさまざまな懸念があるが、私が問題としているのは、Appleがエージェンシーモデルを受け入れる代わりに、出版社に対して常に競合他社よりも安い価格でコンテンツを提供するよう要求したと指摘されている点だ。これはいわゆる“最恵国待遇(MFN)”という契約条項に当たる。もしAmazonも同様の契約を結ばせているとすれば大きな問題だ。出版社は2社以外の業者に対して、より安値で電子書籍を提供できなくなる。もしそうすれば2社に対する価格も引き下げなければならないからだ」。

 検事総長は、現在AmazonやAppleのほか、米Bordersや米Barnes & Nobleなどで販売されている電子書籍が同一価格となっていることが多いことから、すでにAppleとAmazonがこの条項を盛り込んだ契約を結んでいると見ている。

 検事総長は発表資料で、「AmazonとAppleの2社は、米国の電子書籍市場で圧倒的なシェアを占めるものと考えられる。この契約条項が両社にもたらされることで、米国の自由競争は阻害され、消費者は不利益を被ることになる」と述べている。

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