日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は、パソコンがなくても印刷できる機能を強化したインクジェット複合機「HP Photosmart Wireless B110a」を8月5日に発売する。同社の直販サイト「HP Directplus」では、1万2810円。
新製品は、インターネットと連携した「メールdeプリント」「アプリdeプリント」の2つの機能を備えるのが特徴。本体に内蔵の無線LAN(IEEE802.11b/g/n)機能でインターネットに接続する。
「メールdeプリント」(海外ではHP ePrintと呼ぶ)は、プリンターに割り振られたメールアドレスに届いたメールを直接印刷する機能。添付ファイルも印刷可能で、Word、Excel、Powerpoint、PDFとテキスト形式に対応している。ただし印刷できる添付ファイルは5MBまで。メールアドレスは、プリンターを最初にHPのサーバーに登録したとき、自動的に割り当てられる。この機能を使えば、従来はプリンターにつなげなかったスマートフォンやiPadからも書類を印刷できる。なお、プリンターの電源は常に入れておく必要がある。
もう1つの「アプリdeプリント」(海外ではPrint Apps)は、インターネット上にある専用コンテンツを、プリンター本体の操作だけで直接印刷できる機能。液晶画面に表示された一覧から印刷したいものを選んでいくと、そのデータをダウンロードして直接印刷できる。現在用意されているコンテンツ(アプリ)は、カレンダーなどを簡単に印刷できる「クイックフォーム」や、キャラクターの塗り絵が印刷できる「ディズニー」など。アプリはまだ海外のものばかりだが、同社ではウェザーニュース、ぐるなび、クレオなどと提携し、徐々に日本語対応のコンテンツを増やす予定だ。
なお、同社が2010年の秋以降に登場する新製品には、すべてこの2つの機能を搭載する。
7月28日の発表会冒頭では、同社の小出伸一社長執行役員が挨拶。ユーザーのニーズに合わせて同社が企業買収などを繰り返してきた歴史を振り返った。そして、「さまざまなサービスがクラウド化している今では、単なるパソコンの周辺機器ではなく、サービスを提供できる機器としてプリンターを紹介したい」と新製品の意義をアピールした。
続いて登壇した同社イメージング・プリンティング事業統括の挽野元執行役員は、スマートフォンやiPadなど、パソコン以外のモバイル機器が急速に増えてきたことを開発の背景として紹介。その上で、「あらゆる情報デバイスから、究極のモバイルデバイスである紙に印刷することができる。これは、プリンター自体が情報端末になるということだ」と述べた。
同社では、これらの新機能によって、日本国内の市場シェアを現在の8%から15%に倍増させることを目標としている。