欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)はベルギーで現地時間2010年7月26日、米IBMに対して競争法(独占禁止法)違反に関する正式調査を開始することを明らかにした。同社がメインフレームコンピュータ市場で支配的地位を乱用した疑いがあるとしている。

 調査は2つの問題に焦点を当てる。1つはメインフレームとOSの抱き合わせ販売に関するもので、米T3 TechnologiesとフランスTurboHerculesがECに調査を要請していた(関連記事:「IBMに反競争的行為」、米メインフレーム・メーカーがECに申し立て)。もう1つは、保守サービスの競合サプライヤーに対する反競争的行為の有無で、ECが独自に調査着手を判断した。

 T3およびTurbo Herculesは、IBMが自社製メインフレームのハードウエアとOSを組み合わせることで、エミュレーション技術プロバイダーを不当に排除したと主張している。またECは、IBMが唯一の供給源である部品へのアクセスを制限あるいは遅らせることにより、保守サービス市場から他社の締め出しを図ったと懸念している。

 なおECは、調査開始がすなわちIBMの競争法違反を意味するものではないとしている。

 ECによると、新規メインフレームおよびOSへの2009年の支出は世界で約85億ユーロ、欧州経済領域で約30億ユーロにのぼったという。

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