新型スマートフォン「iPhone 4」の電波受信問題について開いた記者会見で、米AppleのSteve Jobs最高経営責任者(CEO)が行った説明の内容を巡って波紋が広がっている。

 AppleのJobs氏は米国時間2010年7月16日、米カリフォルニア州クパチーノの本社で記者会見し、iPhone 4は本体の持ち方によって電波が遮られ、受信感度が低下すると説明した。

 対策として、米消費者情報誌の実験で問題が解決されることが明らかになった「Bumper(バンパー)」と呼ぶ専用ケースをすべてのユーザーに無償で配ると発表。その一方でBumperを使ってもiPhone 4を気に入ってもらえない場合は、故障していないものを対象に返品に応じ、全額返金すると説明した(関連記事:iPhone 4のアンテナ問題、専用ケースで解決---米消費者情報誌)。

 しかしJobs氏がこの会見の中で「これはiPhone 4特有の問題ではなく、どのメーカーのスマートフォンにもある業界全体の問題だ」と主張したことで、ライバル企業が一斉に反発した。

 Jobs氏は壇上で、カナダResearch In Motion(RIM)の「BlackBerry」や、台湾HTC製のAndroid端末、韓国Samsung製のWindows Mobile端末の映像を映し出し、本体下部に指が触れるように握った場合にアンテナバーの数が減ることを示した。

 この記者会見を受けて、RIM共同CEOのMike Lazaridis氏とJim Balsillie氏は7月18日に共同を声明を出し、「自社の失態にRIMを巻き込もうとするAppleの手の込んだ企てを受け入れることができない」などと反論した。

 「RIMはアンテナ設計のグローバルリーダーだ。過去20年以上にわたってiPhone 4にあるようなアンテナの設計手法を避けてきた。電波が弱い場所で通信が切れるというリスクを低減するため先進的なデザインを採用している」(両氏)。

 またHTCは米Wall Street Journalのインタビューに答え、「このような受信問題はスマートフォン全般にあるものではない。Appleは、通信事業者に十分なテスト期間を与えなかったように思える」と述べている。SamsungはAppleのビデオに登場した同社端末「Omnia II」について、「指摘されたような問題の報告は受けていない」と述べている。

 フィンランドNokiaも16日に声明を出し、「一般的に、携帯端末を強く握ったときにアンテナ性能は影響を受ける可能性はある」と、Jobs氏の主張に一定の理解を示したうえで、「だからこそNokiaはユーザーの日常生活のあらゆる場面を想定して設計を行っている」と反論した。

 アンテナ問題を早期に終結させ、同社への批判をかわそうとしたJobs氏の試みは、別の議論に火をつけてしまったようだとWall Street Journalの別の記事は報じている。

 なおAppleは、9月30日までにiPhone 4を購入した人を対象に専用ケースを無償で提供する。それ以降の対応については今後検討し、より良い解決策を模索するとしている。また既に専用ケースを購入しているユーザーにはその代金を返還する。

[Apple Steve Jobs CEOの記者会見映像]
[Research In Motionの声明]
[Nokiaの声明]