写真●グーグルの村上憲郎名誉会長
写真●グーグルの村上憲郎名誉会長
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 「スマートグリッドは、電力網と情報網が寄り添った存在。電力網に接続するモノはすべて、情報のやりとりのためにインターネットに接続されるようになる。スマートグリッドは『モノのインターネット(Internet of Things)』だ」――。グーグルの村上憲郎名誉会長は2010年7月16日、東京・品川で開催中の「IT Japan 2010」で、インターネットでサービスを行う最大手のグーグルが、スマートグリッドに取り組む必然性をこのように説明した。

 村上氏はスマートグリッドについて、「1990年代、民間に開放されたばかりのインターネットで将来的に『twitter』や『YouTube』、『Ustream』のようなアプリケーションが登場するとは誰も考えていなかったように、今のスマートグリッドも、どのようなアプリケーションが現れるのか誰も分からない状態」と指摘する。グーグルは現在、ドイツで電力会社と協力して、家庭内で使用される電力を計測し、その情報をインターネット経由で発信するスマートメーター「Google PowerMeter」の配布を行っている。こういった取り組みは、スマートグリッド上で実現可能なアプリケーションを探るためのものと位置づけられる。

 村上氏はまた、「現在、日本でもGoogle PowerMetarが展開できないか、電力会社と調整しているところ。今日(7月16日)もこれから、関西方面に出張して電力メーターのメーカーと打ち合わせする」と明かし、日本でも間もなくスマートグリッド関連事業を始める予定であるとした。

 スマートグリッドは、米国のオバマ政権が進める「グリーン・ニューディール」に関するグーグルのコミットの一環だ。グーグルは他にも、データセンターにおける消費電力削減や、太陽光発電や地熱発電といった再生可能エネルギーの採用などを進めている。

 「YouTubeには、1秒間当たり24時間分の動画がアップロードされており、そのほとんどがハイビジョン。それを月間3億人のユーザーが閲覧している。このようなサービスを快適に利用してもらうためには、巨大なデータセンターが必要。グーグルではハードウエアはすべて自社で設計して、協力会社に製造してもらっており、PCサーバーの生産台数で世界4位に位置する」(村上氏)。村上氏はその巨大データセンターにおいて、PUE(Power Usage Effectiveness、データセンターの消費電力効率)で1.2未満を達成していることなどを紹介し、グーグルのグリーン・ニューディールに対する取り組みの“本気度”をアピールした。