写真●日立製作所の最上義彦 執行役常務 情報・通信システム社システムソリューション部門CEO
写真●日立製作所の最上義彦 執行役常務 情報・通信システム社システムソリューション部門CEO
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 「ユーザーが主権の、ITの新しい時代が来ている」。2010年7月15日、日立製作所の最上義彦 執行役常務 情報・通信システム社システムソリューション部門CEO(写真)が「IT Japan 2010」に登壇し、「クラウド時代のビジネスと社会のイノベーション」と題して講演した。

 最上常務は「クラウドの利用はエンドユーザーが先行している。企業ではようやくこれから本格的な活用が始まる、といった段階だ。クラウド時代は『ユーザー主権』の時代と言える」と語った。

 ユーザー主権をはじめ「クラウド時代には多くのパラダイムシフトが起こっている」と最上常務は言い、環境対応と経済成長を両立させる「競争と協調」、社会インフラがスマート化することにより利用者から供給者へのフィードバックが拡大する「社会インフラ革新」を挙げた。

 これらによって「クラウド時代には大きなビジネスイノベーションが起こる」(最上常務)。ビジネスイノベーションの例として「センサーを利用してエンドユーザーから車の位置・時間情報を取得し、渋滞予測などの道路交通情報を提供するサービス」、「世界で100万台を超える建設機械の稼働状況を管理するサービス」などを紹介した。

 このように徐々に企業での活用が始まっているクラウドだが、それを利用する企業には不安も大きいという。「企業は一般的に、安く、素早く導入でき、柔軟性のあるシステムが利用できることを期待しているが、一方で信頼性や性能、セキュリティには不安を持っている」。そのため、「日立のクラウドはこれらの不安を取り除くことができる、新たな付加価値を提供する」とした。

 高信頼でセキュリティが強いクラウドを提供するための日立の技術として、最上常務は仮想化技術やデータセンター設備などについて紹介した。仮想化技術については「クラウドを複数の企業が利用してもネットワーク、サーバー、ストレージといった各階層でユーザー間の独立性を確保できる」とした。データセンターについては、「非常に地盤の強い横浜に最新鋭のセンターを作った。予備電源や入室セキュリティの強化などの設備も万全だ」と語った。