日経BP社・日経ネットマーケティングは2010年7月13日、ネット/モバイルを活用した優れたマーケティング事例を表彰する第2回「日経ネットマーケティング イノベーション・アワード」の贈賞式を開催。大賞と優秀賞の計4プロジェクトを発表した。

写真1●大賞を受賞した、東急ハンズIT企画部長 通販事業部長の長谷川秀樹氏
写真1●大賞を受賞した、東急ハンズIT企画部長 通販事業部長の長谷川秀樹氏

 大賞は、東急ハンズによる、「コレカモネット」が受賞した。同プロジェクトは、ミニブログ「Twitter」と連携したWebサイト。サイト上のフォーム、またはコレカモネットのTwitterアカウント(@korekamo)あてに欲しい商品をツイートすると、鴨をモチーフにしたキャラクター「コレカモ」が該当商品と在庫状況を自動返信する仕組み。ユーザーからの問い合わせに対して回答をオープンにしたことで、来店・購入意欲が高まる成果を上げた。

 また、「カモ南蛮」とツイートすると「食べないで・・・・」といった返信があるなど、単に在庫状況を知らせるだけではなく、ユニークな回答を用意するなどのクチコミ波及の仕掛けも評価のポイントとなった。

 優秀賞は、ドミノ・ピザ ジャパンの「Domino's App」、ネスレ日本の「iPhone向けレシピアプリの開発」、Z会の「合格報告会 in ツイッター」プロジェクトが受賞した。ECショップ賞は該当無しの結果となった。

 Domino's AppはiPhoneから簡単に注文できる宅配注文アプリ。GPS(全地球測位システム)機能を用いることで、宅配には住所が必要という常識を覆し、お花見会場の公園にデリバリーする“屋外配達”の利便性をアピールしたほか、41日間で3000万円を売り上げた成果が評価された。

 iPhone向けレシピアプリの開発は、iPhoneの端末特性を生かしたレシピ集アプリで、健康志向・内食志向に沿った企業戦略をアプリに集約。キッチンタイマーを内蔵し、また濡れた手で触らずに済むようにiPhoneをスリープさせない工夫を施し、使う場=キッチンにまで入り込むプロダクトを作り上げたことが受賞につながった。

 合格報告会 in ツイッターは、全国10大学の前期入試合格発表日に、合格が決まったばかりの受験生の喜びのつぶやきを公式Twitterアカウントで報告したイベント。同社社員からの「おめでとう」メッセージを交互に掲載して、受験生を応援する教育機関としてのブランディングを確立。コストをかけずに、通信教育の新規顧客獲得にも好影響をもたらした。

写真2●審査委員長を務めた慶応義塾大学大学院経営管理研究科教授の井上哲浩氏
写真2●審査委員長を務めた慶応義塾大学大学院経営管理研究科教授の井上哲浩氏

 審査委員長を務めた慶応義塾大学大学院経営管理研究科教授の井上哲浩氏は贈賞式で、「情報に表現を加えることが成功のカギと感じた。デバイスやネットの環境が変わってきている。情報を使うだけではなく、面白い、涙が出るといった感動を与えるような表現がマーケティングでも大切。そのためには顧客とメディアを改めて理解することが重要になる」と、今回の受賞作品はいずれも、先進的な事例であるだけではなく情緒的な魅力を持ったプロジェクトだったと総評を述べた。

 本アワードに応募されたプロジェクトの数は72件。最終審査に残った12件を対象に最終審査を実施。マーケティング分野の専門家6人からなる審査委員会での選考の結果、各賞を決定した。

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