ダウングレード権の延長を発表した米マイクロソフトの公式ブログ
ダウングレード権の延長を発表した米マイクロソフトの公式ブログ
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 米マイクロソフトは2010年7月12日(米国時間)、OEM版Windows 7に付随する「ダウングレード権」の提供期限を延長する方針を明らかにした。ダウングレード権とは、最新OSのライセンスによって、過去のOSを利用する権利のこと。パソコンにプリインストールされるOEM版Windows 7の場合、Professional以上のエディションでダウングレード権が付与され、Windows Vista BusinessやWindows XP Professionalなどへのダウングレードが可能になる。

 OEM版のWindowsでは通常、ダウングレード権は“1つ前”のOSに限って認められる。しかし、Windows 7では特別に“2つ前”のOSであるWindows XPへのダウングレード権を認めていた。ただしこれまでは、Windows XPへのダウングレード権は期間限定で提供し、その期限は「Windows 7 Service Pack 1が提供されるまで、もしくは2011年4月21日(Windows 7提供から18カ月後)のどちらか早い期日まで」としていた。

 ところが今回、この期間の制限を撤廃。OEM版Windows 7の提供期間全体を通じて、Windows XPへのダウングレード権を付与し続けることにした。「Windows 7に移行する準備が整うまでの間も、企業は新しいパソコンを購入し続けることができ、またWindows XPやVistaにダウングレードして利用できる。ダウングレード権をWindows 7のライフサイクル全体を通じて得られることで、Windows 7への移行をより計画しやすくなるだろう」と同社のブランドン・レブラン氏は述べている。

 ただし、今回延長されたのはOEM版Windows 7に付随するダウングレード権のみ。パソコンメーカーが事前にWindows XPへとダウングレードした状態でパソコンを販売できるのは、2010年10月22日までだとしている。それ以降に販売されたパソコンでダウングレード権を行使するには、ユーザー自身でWindows XPのインストールメディアを用意するか、メーカーが提供するサポートサービスなどを利用する必要がある。

 日経パソコンが電子情報技術産業協会(JEITA)の協力で実施した「企業の情報化実態調査2010」によると、回答企業2195社のうち、2010年3月末時点でWindows XP Professionalを最も多く利用しているという企業は89.8%にも上った。同OSを保有している企業に至っては98.4%と、いまだWindows XPが中心的に使われている現状が伺える。Windows 7を全社的に導入する時期については、「Windows XP搭載パソコンの提供終了後」と答えた企業が20.6%で最多。2011年度中と答えた企業が17.8%と続いた。

 なお、マイクロソフトは同日、Windows 7およびWindows Server 2008 R2 サービスパック1(SP1)のベータ版も公開した。このSP1のベータ版公開に合わせて、ダウングレード権の延長を発表した形だ。

■変更履歴
当初、「“Windows XPパソコン”の販売可能期間を延長」というタイトルで、Windows XPへとダウングレードした形でのパソコン販売が延長されるという内容を記載していましたが、延長されたのはOEM版Windows 7に付随する「ダウングレード権」のみで、メーカーによるWindows XPパソコンの出荷は2010年10月22日までとされています。お詫びして訂正いたします。タイトルおよび本文の内容は修正済みです。[2010/7/15 11:55]