写真1●花王の石井龍夫Web作成部長(撮影:新関雅士)
写真1●花王の石井龍夫Web作成部長(撮影:新関雅士)
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 2010年7月13日に開催された「NETMarketing Fourm 2010」(日経BP社主催)において、花王Web作成部長の石井龍夫氏が「ログ解析から他データとの連係まで 花王の“ネット解析”活用戦略」と題して講演。花王のアクセス解析データを活用したマーケティング手法や、ミニブログ「Twitter」、ブログなどのソーシャルメディアの効果測定法を披露した(写真1)。

 花王では、55のブランドサイト、33のケータイサイトを運営している。それらのサイトへのアクセスは、検索からの訪問が全体の62%を占めるという。そのため、同社のアクセス解析データには豊富な訪問検索キーワードや、それにひも付くサイト内の行動履歴データがある。そのデータを読み解くことで、「顧客が商品に何を求めているのかといったニーズが把握できる。また、サイトを訪れた人の姿もおぼろげながら見えてくる」(石井氏)と説明した。

 その具体例として、石井氏はヘアカラーについて情報を探して花王のサイトを訪れたユーザーの行動パターンを紹介した。あるユーザーが1回目に訪れたときは「ヘアカラー」という一般的なキーワードだったが、同じユーザーの2回目の訪問時には「ブローネ」というブランド名で検索してサイトを訪れていた。このことから、サイトを利用することで「ブローネ」というヘアカラー商品のブランドの認知につながったことが分かり、さらに2回目の訪問ではブローネの使い方のページを中心に閲覧するなど、「商品の比較検討段階から、購入の検討へと態度変容した」(石井氏)と、ユーザー行動からWebサイトの成果を測る、アクセス解析データの有効な活用法を披露した。

 ソーシャルメディアの分析にも力を注ぐ。石井氏は「やるべきことはソーシャルメディアの解析へと移っている」と指摘する。花王の商品「蒸気でホットアイマスク」が、人気テレビ番組で取り上げられたことをきっかけに、1週間で1000件のブログ記事の公開につながった事例を紹介。商品は、テレビで取り上げられて爆発的に売り上げが伸びたが、その後も半年間にわたり継続的に好調が続いている理由を「ブログで接触して購入に結び付いている」(石井氏)と分析している。

 ネット上で商品に対する好意的な意見が書かれる企画を展開すること、そしてその成果を測ることが、自社サイトのPV(ページビュー)や滞在時間の解析以上に求められていると、ソーシャルメディア分析の重要性が高まっていることを強調した。