米マイクロソフトは2010年7月12日(米国時間)、「Windows Azure platform appliance」を発表した。同社のPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)「Windows Azure」「SQL Azure」を構成するソフトウエアがインストールされたデータセンターアプライアンス製品で、米デル、富士通、米ヒューレット・パッカード(HP)が2010年後半以降に発売する。デルや富士通、HPは、自社のSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)やPaaSの基盤としても、同製品を利用する。

 マイクロソフトは2008年10月のWindows Azure発表以来、「Windows Azureのソフトウエアは販売しない」という姿勢を示してきたが、それを大きく転換した。利用企業は、デルや富士通、HPからWindows AzureやSQL Azureのソフトウエアを搭載したアプライアンスを調達して、自社データセンター内で運用できるようになる。

 ハードウエアの仕様は、メーカーではなくマイクロソフトが決定する。利用企業はアプリケーションの負荷に応じてサーバー台数を自動的に拡張できるオートスケーリング機能などを備えたPaaSを、自社データセンター内で実現できる。

 Windows Azure platform applianceの初期導入企業としては、世界最大のオークションサイトを運営する米イーベイが発表された。イーベイは既に「iPad」向けのWebサイトを、マイクロソフトが運営するWindows Azure上で運用している。イーベイは今後、パブリッククラウド上で運用するサービスを、自社データセンター内に容易に移行できるようになる。

 富士通は自社製ハードウエアのWindows Azure platform applianceを販売するほか、群馬県館林市にある富士通のデータセンターで、Windows Azure platform applianceを運用。同社や同社のパートナーが提供するSaaSやPaaSの基盤として利用する。デルやHPも同様に、アプライアンスを開発していることを明らかにしたほか、SaaSやPaaSの基盤としてアプライアンスを自社運用することを発表している。