写真1●アマゾン ジャパン 代表取締役社長 ジャスパー・チャン氏(撮影:皆木優子)
写真1●アマゾン ジャパン 代表取締役社長 ジャスパー・チャン氏(撮影:皆木優子)
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 「米国では2010年4-6月期に家電などの非メディア商材の売り上げが、本やCDなどのメディア商材の売り上げを上回った」(アマゾン ジャパン代表取締役社長のジャスパー・チャン氏、写真1)。

 2010年7月13日、品川プリンスホテル(東京都港区)で開催中の「NETMarketing Forum 2010」(日経BP社主催)の基調講演でチャン氏は、「アマゾン流、成長スパイラルの作り方」と題して講演。本とCDのアマゾンから、総合オンラインストアへと利用者の購入傾向が変わりつつあることを示した。

 冒頭、チャン氏はアマゾンの現状について説明した。2010年4-6月期の全世界のアクティブ顧客数は1億500万人で、2009年度の売上高は2008年度比で28%増の245億ドル。「経済状況の変化に左右されることのない成長率を達成している」(チャン氏)と好調を継続していることをアピールした。

 続けて、売上高の商品内訳についても説明。書籍のECサイトとしてスタートしたアマゾンだが、取扱商材を随時拡大しており、現在は21のカテゴリーを展開。取扱商品点数は2000万を超える。本、CD、DVD、PC関連商品といった「メディア商材」も伸びているが、特に家電などの「非メディア商材」の成長は目覚しく、品ぞろえの強化が売り上げ増加にも大きく貢献しているという。

 高成長を続けるアマゾンは顧客戦略について、「品ぞろえ」「低価格」「利便性」という3つの柱を持つ。「イノベーションを基盤にこの3つの要素の強化に注力」(チャン氏)することが、顧客満足度を高め、一層の成長につながると説明。これら3つの要素で取り組む具体的な施策に話は移った。

 まず、品ぞろえについては「地球上で最も豊富な品ぞろえを実現」(チャン氏)することを目標に掲げ、カテゴリーの拡充、既存カテゴリーの商品強化に力を注ぐ。「ニッチな商品へのニーズにも迅速に提供する」(チャン氏)ために、適切な在庫を持ち、迅速に配送するために物流センターを拡張していると説明した。一方、価格の面では、商品価格だけではなく配送料金を含めたトータルコストで低価格を実現するよう務めているという。例えば、どんな小さなものでも配送料が無料になるキャンペーンを継続。また、高利率のポイント還元キャンペーンを展開するなど、付加サービスを含めた複合的な施策が高い顧客満足度の維持のポイントだと語った。

 3つめの要素である利便性では、迅速な配送サービスの提供とサイトでの機能強化について紹介した。

 同社では、通常配送以外にも、「当日お急ぎ便」「コンビニ受け取り」など、配送に関して様々なサービスを提供している。物流センターの拡張も、より早期の配達を実現するための戦略の一つ。2009年に大阪・堺に物流センターを開設し、関西方面への当日配送を可能にした。また、2010年7月12日には埼玉・川越に4つ目の物流センターを設置するなど、拡大を続けている。