米Googleは米国時間2010年7月9日、中国本土でネット業務を継続するために必要なインターネットコンテンツプロバイダー(ICP)の事業免許の更新を中国当局から受けたと発表した。最高法務責任者David Drummond氏が同社の公式ブログを更新して明らかにした。同氏は声明の中で「当局が事業免許を更新したことをうれしく思う。中国のユーザーにWeb検索と中国本土のサービスの提供が続けられることを期待している」と述べた。

 Googleは今年3月22日、同社メールサービス「Gmail」で、中国の人権活動家のアカウントがサイバー攻撃を受けたことや、中国政府から強いられている自己検閲が言論の自由を脅かすとして中国本土向けWebサイト「Google.cn」の検閲を停止。同時にこれまでGoogle.cnで提供していたサービスを香港のサーバーに移した。この時、Google.cnへのアクセスを香港サイト「Google.com.hk」に自動転送(リダイレクト)し、香港から本土向けのサービスを検閲なしで提供する方式に切り替えた。

 しかし6月30日に迫っていた事業免許の期限を前に、政府当局者がリダイレクトを認めない方針を明らかにした。同社はこのままではGoogle.cnの運営ができなくなるとして、リダイレクトの中止を決定。Google.cnにランディングページを設け、このページにGoogle.com.hkへのリンクを張り、ユーザーを香港サイトに誘導する方式に改めた(関連記事:Google、中国での香港サイトへの自動転送を中止)。

 米メディア(Wall Street Journal)によると、Google.cnを運営する現地法人のBeijing Guxiang Information Technology(北京谷翔情報技術)は免許の更新を求めて、中国の工業情報化省に書簡を提出した。

 Googleはその中で、同社が中国の法律を順守すること、法律に違反したコンテンツを提供しないことを誓約したという。またすべてのコンテンツは規制当局の監視の下にあるとする条件も受け入れたと中国国営の新華社は伝えている。

 Wall Street Journalは、「今回の決定でGoogleの中国市場への足掛かりは維持できたが、将来における同国での事業の継続が約束されたわけではない」と報じている。当局はいつでも免許を取り消すことができ、またいつでもアクセスを遮断できるからだという。

[Google公式ブログへの投稿記事]