エーピーシー・ジャパン(APCジャパン)は2010年7月9日、高密度データセンター向け冷却システムを発表した。ラック列の間の天井スペースにかぶせる形で設置する冷却装置「InRow OA」と、同装置で集めた熱を排出する水冷装置「Refrigerant Distribution Unit(RDU)」で構成(写真1)。冷却効率と配置の柔軟性を高めた。同年9月1日に販売を始める。
InRow OAは、ラック列の間にかぶせる形で天井の空きスペースに設置可能な冷却装置(写真2)。高性能サーバーをフル実装したラック列など、必要な場所にピンポイントで増設できる。ラック前面のホットアイルからの熱を吸気し、冷媒で熱交換した後にラック背面に冷やした空気を排気。InRow OAが集めた熱は、冷媒配管を通してRDUに集約したうえでデータセンター外に排出する。冷却能力は1台当たり最大27kW。
RDUは、最大で5台のInRow OAを接続可能な水冷型の熱交換器(写真3)。コンプレッサが必要ないわゆるエアコンを利用しないため、「データセンター稼働初期や、冗長性に余裕を持たせた場合の低負荷時でも効率的に冷却できる」(APCジャパン ビジネス・デベロップメントの安藤敦プロダクトマネージャー)。冷却能力は最大160kW。サーバーラックに隣接配置できるほか、サーバー室の外に設置して室内への冷却水導引を回避できる。
RDUに集めた熱の冷却は、標準の水冷方式だけでなく「空冷方式への変更などのカスタマイズに対応する」(安藤氏)。今後も冷却システムの高効率化を進め、「屋外の温度が低い場合にエアコン冷却を外気冷却に切り替える付帯設備『エアサイドエコノマイザー』(写真4)などを提供する計画」(APC by Schneider Electric Product Line ManagerのJohn Niemann氏)という。
価格は個別見積もり。InRow OA×8、RDU×1で10kW容量のラック14本を冷却する標準構成で2900万円。