日本放送協会(NHK)と日本民間放送連盟による「音声メディアの将来に関する意見交換会」は2010年7月8日、中間取りまとめの概要を公表した。意見交換会は、ラジオ媒体の将来のあり方について意見交換する場として、2010年2月15日にNHKと民放連が発足させていた(関連記事)。

 公表された中間とりまとめは、会合の組織と検討経過について紹介したあと、現時点で基本的な合意に達した項目を述べている。「若者を中心とするラジオ離れ」「端末普及を含む送受信環境整備」「地域の安心安全に向けた災害時の放送対応」「デジタル環境の中での新たなサービス」の4点について共通の課題と認識とすることを確認し、さらに前の2課題を喫緊の課題として「できることから共同で取り組む」ことを基本的な合意とした。

 「若者を中心とするラジオ離れ」への取り組み案として、NHKと民放ラジオ共催でラジオイベントなどを実施する可能性などを示した。「端末普及を含む送受信環境整備」への取り組み案として、受信機への対応について、メーカーとの情報共有などに共同で取り組む可能性などを示した。これらの取り組み案の実現を目指し、より具体的に詰めていく組織を、そのあり方を含めてNHKと民放連の双方で検討することとした。

 残る二つの課題では、まず「地域の安心安全に向けた災害時の放送対応」に関して「地域の安心安全」や「災害時の放送」については引き続きアナログラジオが重要な役割を果たすためにも、この会合で合意した課題克服のための取り組み案を実現に近づけることが重要という認識で一致したという。

 「デジタル環境の中での新たなサービス」への取り組みに関しては、2010年春に東京、大阪の民放ラジオ13局でスタートした「IPサイマルラジオ」が「若者のラジオ離れ」や「端末問題」、「難聴取」などの課題克服に有効と認識し、今後も情報共有を行っていくことを確認した。

<V-Lowは「技術部会」を組織し、「ハードの規模感」の考え方共有>

 なお、V-Low帯マルチメディア放送については、NHK/民放ラジオ双方の「端末イメージ」 「ハードの規模感」 「エリアイメージ」などに関する考え方の共有を行ってきたが、この会合の下部組織として「技術部会」を組織し「ハードの規模感」についてさらに考え方の共有を図る方針を示した。

 今後は、共通課題の克服に向けた取り組み案の具体化の可能性を探るととともに、「音声メディアの独自の機能と社会的な使命」「リスナー・地域市民の多岐多様なニーズへの対応」について双方で検討を重ね、「デジタル時代の音声メディアのあり方」の模索を続けていくという。

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