日本IBMは2010年7月6日、企業グループ内といった特定の利用者向けのクラウド環境を構築するためのアプライアンス製品の新版「IBM WebSphere CloudBurst Appliance V2.0」を7月23日から出荷すると発表した。価格は643万5000円(税別)。

 CloudBurstは、OSと仮想化ソフト、データベースソフト、Webアプリケーションサーバーソフトの組み合わせを定義しておくと、社内のサーバーに一括配信できる装置である。定義の種類に制限はない。

 例えばITベンダーなどは開発プロジェクトに応じて、開発環境やテスト環境を頻繁に変えて用意しなくてはいけない。このとき「CloudBurstであらかじめOSからミドルウエアの組み合わせを定義しておけば10分で構築できる」と熊本義信理事ソフトウェア事業WebSphere事業部事業部長は話す。「開発期間が3カ月という話も珍しくない今、環境の構築もスピーディにしたいという顧客は増えている」(同)。

 新版では、CloudBurstで定義・配信できるソフトの種類を増やした。昨年6月に出荷した前版では、ミドルウエアはWebSphere Application Serverしか扱えなかったが、新版では3製品を追加した。データベースソフトの「DB2 Enterprise Server Edition」と、BPEL(Business Process Execution Language)で記述したビジネス・プロセスに沿ってアプリケーションを動作させる「IBM WebSphere Process Server Hypervisor Edition」、配信した環境の応答時間などを測定・管理する「IBM WebSphere Application Server Hypervisor Edition Intelligent Management Pack」である。

 配信できる環境の種類も増やした。前版はNovell SUSE Linux Enterprise Serverのみに対応していたが、Red Hat Enterprise Linux Serverにも配信できるようにした。「日本からの要望が強かったため追加した」(熊本理事)。

 CloudBurstの利用には、配信先のサーバーに仮想化ソフトが導入済みであることが前提だ。新版ではこれまでのVMware ESXに加え、IBM PowerVMとIBM z/VMハイパーバイザーを追加した。それぞれPower Systems(旧AIX、旧System i)とメインフレームのSystem zが備える仮想化ソフトである。

 また記者発表会において熊本理事は、9月までに「Cast Iron OMNICONNECT」というアプライアンス装置を出荷することも明らかにした。「社内システムとSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)といった社外のクラウド・サービスのデータマッピングを容易にする装置」(熊本理事)。この5月に米IBMが買収を明らかにした米Cast Iron Systemsが所有するソフトを搭載する。