ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ(B-CAS社)は2011年3月末に、6種類のB-CASカードのユーザー登録を廃止する。2010年6月25日の株主総会で報告された。同社は地上デジタル放送専用受信機向けのカード(青カードと白青カード)のユーザー登録については、2010年3月末に廃止済みである。2011年3月末には、すべてのB-CASカードの登録が廃止されることになる。B-CAS社は2010年7月5日に、Webサイト上でB-CASカードのユーザーへの告知を開始した。

 ユーザー登録の廃止により、「数億円のコスト削減効果が見込める」(B-CAS社)という。B-CAS社や日本放送協会(NHK)、WOWOW、スター・チャンネル、スカパーJSAT、ビーエス朝日(BS朝日)、フジテレビジョン、ジェイ・スポーツ・ブロードキャスティング、衛星放送協会などで構成される「衛星放送CAS料金体系等協議会」(CAS協議会)の第6回会合(2010年4月23日開催)において、廃止について合意していた。

 B-CAS社自身は、B-CASカードの故障時の交換や紛失・盗難時の再発行などの業務を円滑に行うために、ユーザー登録の仕組みを活用している。2010年4月までにユーザーからの電話に対応する「コミュニケーター」を増員したほか、業務システムをリニューアルした。これにより、ユーザーの登録情報を使わなくても円滑な業務を行うことができると判断した。なお、支給先のメーカーからB-CASカードが不正流出したときに備えて、B-CASカードの支給先データなどの管理は継続する。

 B-CAS社は、ユーザーが同意した場合に限り、ユーザー登録情報を日本放送協会(NHK)やBSデジタル放送および東経110度CS放送の委託放送事業者などに提供している。NHKはBSデジタル放送の受信確認メッセージの事前消去に登録情報を使っている。NHKは、B-CAS社のユーザー登録廃止に伴い、メッセージ事前消去の届け出はがきを3波共用チューナーに同梱することを検討している。届け出はがきの同梱開始時期については、「B-CAS社と相談しながら決めたい」(NHK)としている。

 一方、BSデジタル放送および東経110度CS放送の委託放送事業者は、有料放送の番組案内や加入勧誘、アンケート調査を行う際に登録情報を活用している。3波共用チューナー内蔵のデジタルテレビなどの普及台数が少ないうちは、対象となる視聴世帯を特定できるユーザー登録情報は価値があったが、そのメリットがだんだん乏しくなってきていた。