最後のテスト動画が、街灯直下に咲く夜の花をアップで撮影したものである。夜道と白い花というコントラストの差が激しい被写体を、遠近感のある構図でとらえることで、どれぐらい印象的な雰囲気で撮影できるかを比べる。

 比較に際しては、夜景から花がくっきりと浮き出て、白く美しく見えるかに注目してほしい。そして、これはレンズによる影響だが、背景のぼけぐあいの美しさもポイントだ。信号機や車のテールランプなどが、キラキラときらめくかどうかを観てほしい。

 残念ながら、iPhone 4では花が緑がかって映ってしまい、くすんで背景に埋もれたような印象になってしまった。iPhone 4では、画面上でタップした部分にピントがあいホワイトバランスや露出などが設定される仕組み。この場合、花の部分をタップしたものの、ホワイトバランスが適正値にならなかったようだ。比較対象の機器は、ホワイトバランスについてオート設定のままでも、被写体の白さをほぼ再現できた。緑がかる傾向は、iPhone 3GSでも同じである。

 ただ、iPhone 4に加わったLEDライトを動画撮影中に点灯したままにすると一変。花にライトが当たることでホワイトバランスが適正になり、IXY 30S(コンパクトデジカメ)に近い印象で撮影することができた。LEDライトは、iPhone 4が苦手とするシーンでは使い勝手がありそうだと感じた。

 iPhone 4の背景のぼけぐあいについては、デジタルビデオカメラのbloggie(MHS-CM5)とHDR-CX370V、コンパクトデジカメのIXY 30Sと比べて、大きな差はない。ボケ具合がダントツだったのは、口径の大きなレンズを装着できるデジタル一眼レフカメラのEOS Kiss X4で、特にEF24mm F1.4L II USMによる動画は、映画のワンシーンのようだ。

街灯直下に咲く夜の花をアップ撮影。コントラストの差が激しい被写体を、遠近感のある構図でとらえた。夜景から花がくっきりと浮き出て白く美しく見えるか、信号機や車のテールランプなどがぼけて、キラキラときらめくかを比べる