続いて紹介するのが、街灯が一つしかない暗い夜道という悪条件で撮影したテスト動画である。実は、iPhone 4の動画機能で見逃せないのが、「裏面(りめん)照射型CMOS」と呼ばれる撮像素子を採用していること。従来のCMOSとは異なる内部構造により、より多くの光を取り込める特徴を持つ。理論的には、高感度に設定して撮影することが多い、夜の屋外や暗い部屋などの夜景でより鮮明に撮影でき、ノイズも混入しにくい。

 このテスト動画では、いかに明るくそしてノイズが少ないかを比べる。注目してほしいポイントは、まず右にある街灯の下や信号の先にあるビルの壁面がどこまではっきり見えるか。もう一つは、手前の路面で、ざらざらしたノイズの混入の大小である。

 iPhone 4で撮影した動画は、明るいがノイズが目立つHDR-CX370V(デジタルビデオカメラ)と、暗いがノイズの目立たないIXY 30S(コンパクトデジカメ)のちょうど中間に近い特性を示した。いずれも、iPhone 4と同じく裏面照射型CMOSを採用した製品だ。低価格デジタルビデオカメラのbloggie(MHS-CM5)は、1/2.5型と大きめながら、通常の撮像素子を搭載した製品。iPhone 4の方が明るさもノイズもワンランク上で、裏面照射型CMOSの特性がよく現れた結果となった。

 格段に明るくノイズが少なかったのは、やはりデジタル一眼レフカメラのEOS Kiss X4。付属の標準レンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS」に加え、「EF24mm F1.4L II USM」(実勢価格約21万5000円)という大変明るい高級レンズでも撮影した。いずれも、オート設定でISO3200という高い感度だったにも関わらず、ノイズがほとんど目立たない。

 最近のデジタルビデオカメラやデジカメは、開放F値(レンズの明るさを示す値)が「F2.0」程度の比較的明るいレンズを搭載することが多い。ただ、撮像素子が巨大なデジタル一眼レフカメラなら、「F.3.5」程度でもノイズが少なく撮影できることが、この結果から分かる。

街灯が一つしかない暗い夜道という悪条件で撮影。裏面照射型CMOSのiPhone 4が、より多くの光を取り込めるかを比べる。右にある街灯の下や信号の先にあるビルの壁面の明るさや、手前の路面のざらざらしたノイズに注目してほしい