では、早速1本目のテスト動画をご覧いただきたい。曇天の日中に、公園の池を撮影したものである。iPhone 4が、どれほど解像感の高い動画を撮れるかを比べる。比較に際しては、池のさざ波や池際に生えている草が風で揺らめく様子に、注目してほしい。

 iPhone 4で撮影した動画の解像感は、デジタルビデオカメラHDR-CX370Vに近いレベルと言えよう。iPhone 4が搭載するカメラの有効画素数は約500万画素で、約300万画素だったiPhone 3GSから大幅に高画素化を図った。解像感が似ているHDR-CX370Vは約420万画素で、比較的近い。

 ただいくら画素数が多くても、ハイビジョン動画は、720pなら92万画素、1080iなら約207万画素分の情報量として記録される。解像感の差は、撮像素子の大きさや映像エンジンの違いによるところが大きい。撮像素子が大きければ、それだけレンズ経由で多くの情報を取り込めるし、約207万画素以上の撮像素子で撮影したデータを720pや1080iに変換する映像エンジンの性能で画質が変わってくる。

 以上を踏まえると、コンパクトデジカメのIXY 30Sの解像感が、HDR-CX370Vよりわずかに高いことの説明が付く。IXY 30SはHDR-CX370Vに比べて1/2.3型という大きめの撮像素子を搭載する。同じ720pながら、IXY 30SとiPhone 4で違いが出たのも、撮像素子に起因するとみられる。なお、デジタル一眼レフカメラのEOS Kiss X4の動画は、他の機種では見えなかった波や草の細かい部分まで見えている。22.3×14.9mmという巨大な撮像素子の実力を見せつけた格好だ。

 ちなみに、以後紹介するものも含め、撮影は三脚に固定して行い、画角に関してはiPhone 4の画角に近づくように前後のみ調整している。撮影時の本体設定はすべて初期設定のままとした。露出やISO感度を変更できる機種もあったが、「オート」に設定して撮影した。レンズの絞り値を変えられる場合も、最も明るい開放値にしてある。

曇天の日中に公園の池を撮影。池のさざ波や池際に生えている草が風で揺らめく様子で、解像感を比べる。なお、右下の「360p」のボタンをクリックし「720p」に切り替えることで、ハイビジョン画質で再生される