米アップルが2010年6月24日に発売した「iPhone 4」が、3日間で約170万台を出荷したという。人気の秘密はいくつかあるが、iPhoneシリーズとして初めてハイビジョン動画を撮影できるようになったことはその理由の一つかもしれない。

 では、一体iPhone 4はどれほどのの動画性能を備えるのだろうか。最近は、ハイビジョンに対応したビデオカメラの小型化が進み、手軽に持ち運べるようになった。またデジタルカメラも、多くの製品がハイビジョン動画を撮影できる。こうした製品と比べて、iPhone 4の動画性能は良いのか悪いのか。もし肩を並べるレベルなら、ビデオカメラやデジカメを持ち歩いていないシーンでも、日々身に付けポケットに入るiPhone 4で、気軽にハイビジョン動画を撮れる。だとすれば、魅力的である。

 そこで、ハイビジョン動画を撮影できる機器をいくつか用意し、同じシーンをiPhone 4と撮り比べるテストを実施した。用意したのは、価格帯の異なるビデオカメラが2製品、デジタルカメラがコンパクト型と一眼レフの2製品、そして旧機種のiPhone 3GSの合計5製品である。

 iPhone 4の比較対象として用意した機器の仕様をまとめたのが下表だ。iPhone 4がうたうハイビジョン画質とは、具体的には「720p」と呼ぶ1280×720ドットの動画モードのこと。iPhone 3GSの640×480ドットから、飛躍的に解像度が上がっている。同じ720pなのはコンパクトデジカメ「IXY 30S」で、デジタルビデオカメラの「bloggie(MHS-CM5)」「HDR-CX370V」、デジタル一眼レフカメラの「EOS Kiss X4」は、1920×1080ドットのフルハイビジョン画質「1080i」に対応する。

 720pと1080iでは表示の方式が違うため、一概に数字の大きい1080iの方が高画質とは言い切れず、また厳密にはどちらが良いかについても賛否両論ある。ただ一般的には、両者に大きな差はなく、720pであれば1080i同様に大画面テレビでの視聴に十分耐えうる画質であるとされる。

ハイビジョン動画を撮影できるようになった「iPhone 4」。「裏面(りめん)照射型CMOS」と呼ぶ、夜景などでより鮮明に撮影でき、ノイズも混入しにくい撮像素子を採用したのがポイントだ
ハイビジョン動画を撮影できるようになった「iPhone 4」。「裏面(りめん)照射型CMOS」と呼ぶ、夜景などでより鮮明に撮影でき、ノイズも混入しにくい撮像素子を採用したのがポイントだ
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ビデオカメラが2製品、デジタルカメラが2製品、旧機種のiPhone 3GSの合計5製品を用意し、同じシーンをiPhone 4と撮り比べた
ビデオカメラが2製品、デジタルカメラが2製品、旧機種のiPhone 3GSの合計5製品を用意し、同じシーンをiPhone 4と撮り比べた
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