米Googleは米国時間2010年6月28日の遅い時間、中国当局に強いられている自己検閲に反発して行っていた、中国本土向けWebサイト「Google.cn」から香港サイト「Google.com.hk」への自動転送(リダイレクト)を中止すると発表した。

 中国政府当局者とGoogleとの話し合いの中で、当局がリダイレクトを認めない方針を明らかにしたため、対応措置をとることにしたもの。もしこのままリダイレクトを続ければ、6月30日に予定されているインターネットコンテンツプロバイダー(ICP)の事業免許更新ができなくなり、Google.cnのような商業Webサイトを運営できなくなると説明している。

 今後はGoogle.cnにランディングページを設け、このページにGoogle.com.hkへのリンクを張り、ユーザーを香港サイトに誘導する。音楽関連サービスや翻訳サービスといった検閲の必要のないものはGoogle.cnで運営する。

 Googleは今年3月22日、同社メールサービス「Gmail」で、中国の人権活動家のアカウントがサイバー攻撃を受けたことや、中国政府から強いられている自己検閲が言論の自由を脅かすとしてGoogle.cnの検閲を停止。同時にこれまでGoogle.cnで提供していたサービスを香港のサーバーに移した。Google.cnへのアクセスはGoogle.com.hkにリダイレクトし、香港から本土向けの簡体字サービスを検閲なしで提供している(関連記事:Google、中国向け検索サービスの検閲を停止)。

 今回の措置は少数のユーザーから適用を開始し、数日中にすべてのリダイレクトを停止するとしている。Googleは同日、この措置を盛り込んだ事業免許申請書を再提出した。

 Googleの最高法務責任者David Drummond氏は声明の中で、「この新しいアプローチは、自己検閲を行わないという我々の信念と一致しており、中国の法にも合致するものと信じている。この方法で免許を更新し、Google.cn経由で中国本土ユーザーへのサービスを続けていきたい」と述べている。

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