NTT(持株会社)は2010年6月28日、デジタルサイネージ事業の拡大を目的として、デジタルサイネージの大手ベンダーであるピーディーシー(PDC)と資本・業務提携すると発表した。NTTの100%子会社であるNTTインベストメント・パートナーズがPDCの発行済み普通株式の19.2%を約1億円で取得する。取得元はPDCの親会社で、現在株式の95.2%を持つパナソニックである。取得時期は2010年6月中を予定している。

 NTTはNTTアイティを中心に、2010年2月からデジタルサイネージ端末やコンテンツ、コンテンツの配信システムなどのセット商品「ひかりサイネージ」を販売している。しかし、導入企業が増え、普及期に入ったと言われるデジタルサイネージをより拡販するには、短期間で実践的ノウハウを吸収することが欠かせないと判断した。

 実践的ノウハウとは、どのような企業で採用されやすいのかといったマーケティング要素や、効率的なデジタルサイネージ端末の設置工事やメンテナンスの方法、効果の高い設置位置やコンテンツの表示方法、といったものである。

 そこで白羽の矢を立てたのがPDCだった。PDCは六本木ヒルズや東京ミッドタウン、シティバンク銀行などへの導入実績を持ち、これまでの導入は4000カ所に上るという。こうしたノウハウを吸収する方法としてNTTが選んだのが、PDCへの出資だった。

 NTTは得たノウハウを、ひかりサイネージのシステムを提供するベンダー(丸紅など)や企業に導入するSIerと共有していく考えである。PDCとNTTの共同会議体を作り、定期的に会合を持つほか、NTT側の社員派遣も検討しているという。

 またPDCの株式は、三菱UFJキャピタルが出資するファンドも12.2%取得する。PDCはこれまでもパナソニック製以外のディスプレイもデジタルサイネージ端末で採用していたが、NTTインベストメント・パートナーズや三菱UFJキャピタルの出資によって、今後はより多くのベンダーやメーカーの製品を扱う方向だという。