総務省のグローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース 電気通信市場の環境変化への対応検討部会は2010年6月22日、「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数ワーキンググループ」の第3回会合を開催した。今回は関係者に対するヒアリングが行われた。移動体通信事業者6社とNTT、日本放送協会、日本民間放送連盟、日本ケーブルテレビ連盟が参加した。

 ヒアリングの主なテーマは、700/900MHz帯の周波数割り当てに対する考え方である。ヒアリングの結果、各移動体通信事業者の狙いとする周波数や用途がかなりはっきりしてきた。特徴的なのは、移動体通信事業者の大手3社であるNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの周波数戦略が異なることだ。

 まずNTTドコモは700/900MHz帯をペアで使うという考えを示した。用途はLTE用であり、利用したい時期は早ければ2012年、遅くとも2015年とした。700MHz帯でペアまたは900MHz帯でペアを作る考えはないのかという構成員からの質問に対しては、「800MHz帯の再編には時間がかかった経験がある。700Mや900MHz帯をそれぞれペアで使うには既存の利用者が多く、周波数再編に時間がかかる。700/900MHz帯のペアが現実的」(NTTドコモ)とした。

 KDDIは700MHz帯をペアで利用したいという考えを示した。用途はNTTドコモと同じくLTEで、利用時期は遅くとも2015年を希望している。700MHz帯を希望する理由については、「北米で使われている周波数帯との国際協調を図りたいため」(KDDI)と説明した。

 ソフトバンクモバイルは、900MHz帯のペアでの利用を希望した。用途はLTEではなく3G(第3移動体通信)で、山間部などカバーするエリアを増やすために使う。希望する時期は早ければ2012年とした。

 900MHz帯はMCAやICタグに割り当てられているが、ソフトバンクモバイルは、MCAの上り(905M~915MHz)を925M~940MHzに移動し、950M~958MHzを使うUHF帯ICタグ(RFID)を915M~925MHzに移動させる。さらに958M~960MHzを使う放送用のSTLやTTLの2015年返上を2012年に前倒しする。そうした移動で空く900M~915MHzと945M~960MHzをペアで割り当てるというアイデアを示した。

 ワーキンググループでは今回の意見を踏まえながら、2010年6月28日の次回会合で、携帯電話機メーカーなど無線機器を開発するメーカーに対するヒアリングを実施する。