電子書籍リーダー端末を販売する書籍小売り大手の2社が米国時間2010年6月21日、それぞれ端末の価格を引き下げると発表した。米Amazon.comは6インチ・ディスプレイを備える「Kindle」の廉価版をこれまでの259ドルから189ドルに値下げする。

 値下げは同日出荷分から実施する。突然の値下げ決定のためか、同社のオンラインストアでは21日現在、同モデルの中古品が225~250ドルと新品よりも高い価格で売られている。9.7インチ・ディスプレイの「Kindle DX」は値下げをせず、従来通りの489ドルで販売している。

 書店大手の米Barnes&Nobleは同日、同社の「NOOK」端末の価格をこれまでの259ドルから199ドルに値下げすると発表した。同時に第3世代(3G)携帯電話網の通信機能を備えず、無線LAN(Wi-Fi)接続のみに対応する廉価モデル「NOOK Wi-Fi」を発表した。こちらの価格は149ドル。今週出荷するとしている。

 Barnes&Nobleは、NOOKの従来モデルとWi-Fiモデルに適用するソフトウエアアップデート「NOOK v1.4」についても明らかにした。これにより米AT&Tの公衆無線LANサービスを無料で利用できるようなる。従来のBarnes&Noble店舗だけでなく、飲食店やホテルなど全米の数千カ所の無線LANを介して、NOOKでWebやBarnes&Nobleの電子書籍ストアをブラウズできるようになるとしている。

 米メディア(Wall Street Journal)によると、値下げを最初に発表したのはBarnes&Noble。Amazon.comがBarnes&Nobleに対抗し、数時間後に値下げを決めたもようだ。

 記事は、電子書籍専用端末の市場は価格競争という新たな局面を迎えたと伝えている。書籍大手は端末では収益を期待できなくなり、コンテンツに注力するようになる。本体を安く売って消耗品で稼ぐ「かみそりの刃モデル」の時代に突入したと報じている。

[Amazon.comの発表資料]
[Barnes&Nobleの発表資料]