三井化学が2009年10月の決算から新連結会計システムを稼働させたことが明らかになった。構築を請け負ったTISが2010年6月10日に発表した。新システムでは、制度会計上の数値と管理会計上の数値を一致させることで、管理会計の高度化や決算開示の早期化を実現した。

 三井化学が、新システムに移行する前の旧システムを構築したのは2001年ころ。制度会計用システムに別の管理会計用システムを追加する形で構築したため、決算を早期化しようにもシステムの改修に限界があった。システムが別々だったため制度会計と管理会計の数値を一致させるのも困難だったという。

 そこで三井化学は2007年に新システムの検討を開始。最終的に独SAPの「SAP BusinessObjects Financial Consolidation」を使ってばらばらだった旧システムを一本化することとした。パッケージソフトの選定に当たり、「事業単位/会社単位/四半期単位で経営情報が把握できること」「管理連結に強く、柔軟に連結処理できること」「制度会計の数値と管理会計の数値を確実に一致できること」「制度決算を早期に開示できること」の四つを重視したという。

 新システムの開発はTISに委託した。三井化学本社やグループ会社のSAPシステムを開発運用した経験を買ったためだ。三井化学とTISは2008年7月に共同で開発プロジェクトを開始。2009年1月に予算系システムを完成させ、2009年2月の連結予算(管理連結)から運用を開始した。構築に関する費用は明らかにしていない。

 新システムはグループ会社がWebシステムから会計数値を入力したり、一つのシステムでデータ収集からレポート作成までを一貫して処理できるようになった。三井化学は今後、年度決算を30日以内に開示できるようにするとともに、IFRSにも対応していくという。