ソフトイーサは2010年6月7日、同社の主力製品「PacketiX VPN」のオープンソース版「UT-VPN(University of Tsukuba VPN)」Window版バイナリの提供を開始した。ソースコードも2010年6月下旬より公開する。

 「UT-VPN」は、ソフトイーサが2010年3月15日に発売したPacketiX VPN 3.0から、一部の法人顧客向け機能を除去し、学術実験的なコードを追加したバージョン。配布ライセンスはGPL v2。2004年から行ってきた筑波大学との共同研究の一環として、VPN通信に関する科学技術の発展・向上を目的としオープンソースソフトウエアとして公開する。

 除去した機能は、DoS防御機能、外部サーバーによるユーザー認証機能、証明書認証(PKI認証)機能、パケットログ機能、接続元IPアドレス制限機能、syslog転送機能、簡易インストーラ機能、Webインストーラ機能(ActiveX)、ブランド化ツールキット機能、VPNAPI(SDK)機能。これらは当該部分の著作権者がソースコードの公開に同意しなかったため、オープンソース化できなかったという。

 ソフトイーサでは、「製品版PacketiX VPNにとってのUT-VPNは、Red Hat Enterprise Linuxに対するFedoraや、Mac OS Xに対するOpenDarwin、Solarisに対するOpenSolarisのようなもの」として位置づけている。すなわち「製品版PacketiX VPNに今後搭載する予定の実験的コードは、まずUT-VPNに追加されてから、動作を検証し、しばらくしてPacketiX VPNにも搭載する」(ソフトイーサ)という。そのためUT-VPNには実験的なコードが多数含まれることになり「業務用途での使用は可能だが、推奨しない」(同)。またソフトイーサおよびソフトイーサの販売パートナーは、UT-VPNに関する商用サポートを提供しないとしている。

 今後UT-VPNに追加する実験的なコードとして、以下のような機能を予定している。Mac OS Xに対応したVPN Client、iPhone・iPad・AndroidなどからのVPN接続機能、Linux・FreeBSD・Solaris・Mac OS X用のサーバー管理GUIツール、IPsec(IKEv1 または IKEv2)との接続互換性、DirectAccess機能またはSSTP機能の搭載、マネージドMicrosoft .NET APIライブラリ、仮想L3スイッチのIPv6対応、Web管理インタフェースである。

 なおソフトイーサではUT-VPNのソースコードを、Webでの公開に先立ち、2010年6月9日から開催される展示会「INTEROP TOKYO 2010」の同社ブースでCD-ROMにて配布する。

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UT-VPN公式サイト