写真1●左からUQコミュニケーションズの田中孝司代表取締役社長、インテルの吉田和正代表取締役社長、マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長、UQコミュニケーションズの野坂章雄新社長
写真1●左からUQコミュニケーションズの田中孝司代表取締役社長、インテルの吉田和正代表取締役社長、マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長、UQコミュニケーションズの野坂章雄新社長
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写真2●WiMAX対応モバイル・ルーターを「WiMAX Speed Wi-Fi」と総称し、一気にラインアップを拡充した
写真2●WiMAX対応モバイル・ルーターを「WiMAX Speed Wi-Fi」と総称し、一気にラインアップを拡充した
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 UQコミュニケーションズは2010年6月7日、来る7月1日で商用サービス開始から1周年を向かえるに当たり、今後の事業戦略説明会を開催した。説明会には同社の田中孝司代表取締役社長と、6月14日付けで同社の新社長に就任予定の野坂章雄顧問(以下新社長)のほか、インテルの吉田和正代表取締役社長、マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長、NECアクセステクニカの中村隆介代表取締役執行役員社長が出席し、豪華な顔ぶれがそろった(写真1)。

 説明会ではまずはUQコミュニケーションズの野坂新社長が、2010年度の事業プランを紹介。2010年5月末の段階で19万2600加入という状況を今年度末には80万加入と約4倍に増やすことを目標にする。それに合わせ、基地局は前年度から8000局増となる1万5000局へ倍増する計画を披露した。

 通信速度に関しても順次高速化を施す。現在の下り最大40Mビット/秒、上り最大10Mビット/秒から、64QAMを適用することで2010年末に上り最大15Mビット/秒へと高速化する。さらに2012年を目標にモバイルWiMAXの次期バージョンである下り最大330Mビット/秒のIEEE 802.16mの導入を検討する。こちらは2010年中にデモを実施する計画という。

 端末面では、WiMAX内蔵のモバイル・ルーターを「WiMAX Speed Wi-Fi」と総称して普及を促す計画だ。今回の説明会に合わせて、シンセイコーポレーションの「URoad-7000」、ソフトアンドハードの「Egg iWWR-1000J」、NECアクセステクニカの「AtermWM3400RN」、アイ・オー・データ機器の「WMX-GW02A-BK」などの機器を発表し、ラインアップを一気に拡充した。WiMAX内蔵モバイル・パソコンも9メーカーから37機種が登場しているという。

「WiMAXかLTEかという時代ではない」

 UQコミュニケーションズが国内で攻めの姿勢を見せる一方で、世界の情勢には変化も見え始めている。これまでモバイルWiMAXを推進してきた事業者がLTEへ興味を示し始めているからだ。

 例えば米国でモバイルWiMAX事業を展開する米クリアワイヤは、LTEのTDDバージョンである「TD-LTE」の採用を検討している。またこの5月にはロシアでモバイルWiMAX事業を進める露ヨタも、LTEの導入を検討中と報じられた。いずれもUQコミュニケーションズが国際ローミング先として交渉を進める、大手のモバイルWiMAX事業者だ。

 この点について野坂新社長は、「先週にヨタの首脳と東京で会合を持ち、状況を聞いた。ヨタは現在、モスクワやサンクトペテルブルグなど6都市でモバイルWiMAX事業を展開しているが、その地域についてはモバイルWiMAXを変更しないことを確認した。ヨタはモバイルWiMAXを導入するTDDバンドのほかFDDバンドも保有している。そのバンドでLTEの導入を検討中のようだ」と答えた。

 田中社長は、「今後何十億台ものデバイスがワイヤレスのネットワークにつながる形になると、LTEだけではなく、モバイルWiMAX、さらに無線LANもうまく活用して急増するトラフィックを収容していく必要がある。LTEかモバイルWiMAXかという議論ではなく、複数のネットワークを活用することが世界の共通認識になりつつある。ヨタも両方の無線システムを活用する考えだろう。米クリアワイヤも多くの周波数帯を保有する中で、複数の無線システムを使ってトラフィックを吸収しようと考えている」と説明。無線のハイブリッド化が求められる中での動きとの見方を示した。

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