画面●Delphi Prism 2011
画面●Delphi Prism 2011
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 エンバカデロ・テクノロジーズ日本法人は2010年6月3日、WindowsとMac OS、Linux上で動作するアプリケーションを開発できる統合開発環境(IDE)の新版「Delphi Prism 2011」の出荷を開始した。新版の特徴はiPadやiPhoneアプリケーションも開発できるようになったことだ(画面)。価格は6万3000円(税込み)から。

 Delphi Prism 2011は開発言語「Delphi Prism」のためのIDE。開発言語のDelphi Prismは、Delhpi言語の文法を踏襲しつつ、米マイクロソフトが提供する実行環境である.NET Framework上で動作するWindowsアプリケーションやSilverlightアプリケーションを開発できるように、Delphiとは異なるコンパイラを使う言語である。LinuxやMac OS X上で動作するアプリケーションも開発できる。この場合の実行環境は「Mono」と呼ぶオープンソースの.NET Framework互換の実行環境上となる。

 Delphi Prism 2011はMonoの最新バージョンに対応したことで、Mac OS XやiPad/iPhoneアプリケーションが開発できるようになったという。ただし開発したアプリケーションを配布するためには、米ノベルが提供するiPad/iPhone/iPod Touchアプリケーションの開発ツール「MonoTouch」(関連記事)を使う必要がある。

 そのほかIDEとしての新機能は、.NET Frameworkの最新版である「4.0」で開発できるようにしたこと、C#のコードをDelphi Prismのコードに自動変換できるようにしたことなどだ。

 Delphi Prism言語自体の新機能で注目されるのは、アスペクト指向プログラミング(AOP)機構の追加である。エンバカデロによれば.NET向け開発言語のなかで一番最初にAOPに対応したという。そのほか並列プログラミングを強化したり拡張メソッド定義の新構文を追加したりした。