2010年2月期決算企業の内部統制報告書が出揃い、内部統制が有効でない旨を示す「重要な欠陥」を3社が開示した。併せて1社が、重要な評価手続きができなかったとの理由により、監査法人が内部統制報告書に対する意見を表明しない「意見不表明」を開示。J-SOX(日本版SOX法)初年度に「重要な欠陥」を開示した企業の累計は100社となり、内部統制報告書を提出した企業の2.6%に当たることが分かった。

 2月期に重要な欠陥を開示したのは、カードゲームの製造などを手がけるブロッコリー、ローソン、ローソンの子会社であるローソンエンターメディア(LEM)の3社だ。ブロッコリーは「社内規程の見直しにより、業態と規程が食い違う記述があったり、規定間で矛盾が生じるといった事態が発生したことによる全社的な内部統制の不備」が重要な欠陥に当たるとの主旨を報告した。

 ローソンはLEMの不正行為により、有価証券報告書を訂正。不正行為があったLEMとともに2010年5月20日に、重要な欠陥を開示すると公表していた(関連記事)。意見不表明になったのは不動産の総和地所。「管理部門を中心に人員削減を進めたため、経理・財務の知識をもった担当者を評価手続きに従事させることができなかったことから、業務プロセスの内部統制の評価手続きが完了しなかった」との主旨を開示した。

 2月期決算企業の3社のほか、3月期決算のニッパン(日発販売)と4月期決算のメビックスが訂正内部統制報告書を提出し、重要な欠陥を新たに開示している。自動車部品商社のニッパンは社員の不正行為による決算訂正を、臨床試験のメビックスは不適切な会計処理による決算訂正を、それぞれ重要な欠陥の開示理由として挙げた。メビックスは買収により、現在は非上場となっている。枕メーカーのモリシタが「評価手続が終わらなかった」として意見不表明となった。

 J-SOXは2009年3月期から適用になったため、2010年2月期でJ-SOX初年度の内部統制報告書が出揃ったことになる。「意見不表明」だった企業は累計16社あった。重要な欠陥を開示した100社と合わせると、J-SOX対応になんらかの問題があった企業は116社となり、内部統制報告書を提出した3783社の3%だった。

 すでに2010年3月期決算企業による内部統制報告書の提出も始まっている。2009年3月期に国内第1号企業として内部統制報告書を提出したスクロール(旧社名ムトウ、関連記事)が2010年5月28日、10年3月期の内部統制報告書を提出した。

■変更履歴
公開当初、本文5段落目で「意見不表明」だった企業は「累計15社」とあったのは「累計16社」、J-SOX対応になんらかの問題があった企業は「115社」とあったのは「116社」の誤りです。お詫びして訂正します。4段落目末尾に説明を追加しました。本文は修正済みです。[2010/6/18 20:20]