写真1●マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長
写真1●マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長
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写真2●「Dr.シンプラー 2010 Light」をアドインしたOffice 2010の画面
写真2●「Dr.シンプラー 2010 Light」をアドインしたOffice 2010の画面
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 マイクロソフトは2010年6月2日、小中高生など子供のパソコン利用促進に向けた取り組みを強化すると発表した。小学校低学年向けのOffice用アドインソフト「Dr.シンプラー 2010 Light」を全国の小学校に無償配布するほか、PowerPoint用アドインソフト「Microsoft Mouse Mischief」を図書館や公民館、特別支援学校などの教育機関を対象に無償で提供する。

 同時に子供の自宅パソコン利用を普及するための施策として、同社とボリュームライセンス契約を締結している小・中・高等学校の児童・生徒を対象にOffice製品などを優待価格で提供する「児童生徒向けライセンスプログラム」を新設する。

 同社の樋口泰行代表執行役社長(写真1)は、「日本は他の先進国と比較すると教育分野でのIT活用が遅れており、若年層のパソコン所有率が低い。競争力のある次世代人材を育成するためには、情報を暗記する教育だけでなく、情報を収集・分析するためのIT教育環境が必要だ」と指摘。「当社は、子供が安全に利用できるプラットフォームやソフトウエアの提供、および業界を超えたパートナーとの協業を通じて、子供のパソコン利用を促進していく」と説明した。

 今回発表したDr.シンプラー 2010 Lightは、ゼッタテクノロジーが開発した小学校低学年向けのOfficeアドオンソフト。2009年11月から提供していた「Officeきっず2007」の機能強化版にあたり、6月17日に一般発売するOffice 2010に対応する。Office環境にインストールすると、Word、PowerPoint、OneNoteに「きっず」タブを追加できる。新版では、学年別表示モードを搭載。Officeを使用する児童の学年を選択すると、ボタンの文字などを既習の漢字だけを使って表示する(写真2)。

 Microsoft Mouse MischiefはPowerPoint用のアドインソフトで、複数人がマウスを使って1台のパソコンに同時入力ができる。一人1台のパソコン環境がない図書館や公民館、特別支援学級などでの利用を想定している。

 「Yes/No」や「描画」などのテンプレートを搭載しており、「PowerPointの画面をプロジェクターなどに投影し、先生が出題したクイズに複数の子供がマウスを使って同時に解答する、先生が提示した課題の絵を複数人で一緒に描画するなどの使い方ができる」(同社 コンシューマー&オンラインマーケティング統括本部 コンシューマーWindows本部の森洋考氏)。PowerPoint 2007/2010に対応し、最大25台程度のマウスを接続できる。

 学校だけでなく、子供の家庭でのパソコン利用を促進するための取り組みとして、同社は7月中旬に「児童生徒向けライセンスプログラム」を新設する。同社とボリュームライセンス契約を締結した教育委員会がカバーする地域の小中高等学校へ通う児童・生徒に対して、Office製品などを優待価格で提供する。「Office Professional Plus 2010」を8000円(税別、参考価格)で購入できる。

 同プログラムの全国展開にあたり、マイクロソフトは財団法人学習ソフトウェア情報研究センターとのパートナー連携を発表。さらに、「全国に先駆け、兵庫県教育委員会と同プログラム導入に向けて協議中」(同社 執行役常務 パブリックセクター担当の大井川和彦氏)という。